第9話




「ところで、話って紗季さん達のことだけ?」


 俺は気になって父さんに聞いた。


「いや、一番大事な話がコレと言うだけでお前には別の話がある」


 俺には別の話があるらしい。


「刀はオレが日々見ているからともかく、お前の霊力が桁違いなのはわかるが、霊術の方はどの程度だ?先日実際に使うのを見たが改めてどのくらいなのか教えてくれ」


「そうだね、前言った通りではあるけど結界術なんかの防御霊術をいくつか混ぜたり改良して新しく作ったり攻撃霊術も基本同じだけど使う霊力の量を多くしたりしてかなり高威力になっているよ、他にも霊力の質を上げる方法が見つかってそれで精錬した霊力を使えばより効果が高くなるよ」


 そう最近わかったことだが霊力は水を蒸留させるようにして純度を高めることができ、その霊力を使うと術の効果が格段に上がる、増やす方法はいくつか書かれていたりすぐに分かったけどこの方法は書かれているものもあるけど曖昧な表現でモノにするのが大変だった。


「そうか、その霊力の質を高める方法は後で書いて提出してもらうとして、それならそろそろ大丈夫そうだな」


「あなた、もうやらせるのですか?もう少し経ってからでもいいのでは?」


 母さんが父さんの言葉に心配そうに言った。


「大丈夫そうだって言うのはどう言うこと?」


 気になったので俺は父さんに聞いた。


「いやなに、お前も強くなってきたからなそろそろ最下級のものではあるが妖を祓う経験を積むのもいいと思ってな、それに唯、蒼夜には美雪をつけているんだ実力はお前と同等以上だぞ?」


 父さんは俺に妖を祓わせたいらしい、俺はむしろ一度くらい経験しておきたいと思っていたから丁度いいが。


「それはそうですが心配なものは心配です」

 

 母さんはかなり心配らしい。


「大丈夫だよ母さん、結構強くなってると思うし美雪もついてきてくれる、俺だって油断しないようにするから」


 俺はそう母さんに言った、実際妖を舐めているつもりはないが最下級の妖であれば油断しなければ簡単に払えると思う。


「それはそうだけど...」


 まだ母さんは心配らしい。


「安心しろ唯、念の為蒼夜には護符を持たせる美雪にも霊薬を持たせる予定だ、当然武器だってそれなりのものを持たせる、よっぽどのことがなければ問題ないはずだ」


 父さん、それは逆にフラグでは?とも思ったが母さんを納得させることはできたらしい。


「まあ、それならいいんですが...蒼夜、決して油断しないように美雪の言うことも聞くのですよ」


 母さんはそれでも心配そうに言ってきたがなんとか納得してもらえたようだ。


「わかってます母さん」


 俺もそう答えた。


「よし、なら一度解散しよう唯は紗季と紗枝に家の案内を蒼夜は美雪と一緒にひとまず部屋に戻っていなさい、妖を祓うための武器や必要な道具は後で呼ぶからその時に渡す」


 そう父さんが言って解散になった。




_________________________________________

_________________________________________




「うーん、紗枝と色々話したかったけどなー」


 俺は美雪と部屋でゆっくりしながらつぶやいた。


「仕方ありませんよ、あのお二人は家に来たばかり説明も必要でしょう。それに若様だって近いうちに妖退治に行くのですだらけてはいられませんよ」


 ごもっともなことを美雪に言われてしまった。


「そう言えば美雪ってどのくらいの実力なんだっけ?母さんと同じくらいとは聞いてるけど」


 俺は気になったことを聞いてみた。


「そうですね、上の中に近い上の下でしょうか?雪女なので氷や雪の霊術が得意ですが、私はそれに加えて珍しいことに火の霊術もかなり扱えます、他にも若様が改良してくださった霊術もいくつか教えてもらいましたし、霊力の量も里では頭ひとつ抜けていたのでかなり強いと思います」


 そう言われた、美雪は里ではかなりの実力者だったらしい、でも待てよ?それだと...


「でもそれだと美雪の生まれた里って大丈夫なの?防衛とか心配なんだけど」


 美雪は実力者みたいだけど里から離れて大丈夫なのかと聞いてみると。


「いえ、問題ありません、里には結界が貼ってありますしあくまで、同世代から少し上の世代までが比べる基準でそれより上には上の上クラスの実力者もいますし、表に出ないだけで超越者もいると言われていますから大丈夫でしょう」


 どうやら問題はないらしい、それから俺たちは退治する最下級の妖はどんなのだとか霊術に関することを話しながら父さんが呼ぶのをのんびり待っていた。







 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る