第7話



 コンコン


「若様をお連れしました」


 美雪が扉をノックしてそう言った。


「入りなさい」


 中から父さんの声が聞こえた。


 ガチャ


 美雪が扉を開けてくれたので部屋の中に入った。



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 部屋に入ると父さんと母さんそれに召使い以外にも二人知らない人がいた。


 片方はおそらく母さんや父さんと同年代の女性もう一人は小さくて多分俺と同じくらいの歳の幼女だ、どちらもかなりの美人だったりする。


 それはさておき。


「父さん呼ばれたので来ましたがこっちの部屋で話すようなことがあるのですか?」


 父にそう聞いた。


「ああ、その話を今からするからそこに座りなさい」


 そう言われたので母さんの隣に座る。


「さて、蒼夜お前が聞きたいのはこの二人のことだろう?」


 父さんはそう言って向かいに座る二人(多分親子顔も似てるし)を見やった。


「そうですね、召使いを増やすなら別に話すことでも無いでしょうし誰なのかは聞きたいです」


 俺はそう答えた。


「そうだな、彼女たちは







お前の二人目の母と異母妹だ」


 父さんの口から出た言葉に表情には出さないまでも俺はとても驚いた。


「ええっと、浮気でもしたんですか?」


 俺はとりあえずそう父さんに聞いてみる、とはいえ母さんが怒っているわけでも無いので多分違うだろう。


「違う違う!彼女たちは側室とその娘だ!」


 父さんは慌ててそう言った。俺はそう言われて退魔師が基本正室と側室を娶る一夫多妻ということを思い出した。


 分家ならばそうでも無いらしいが、うちは本家筋だし分家でも規模が大きかったり実力が高いと一夫多妻のところも多いらしい。


「そうなんですね、納得はしましたけどなんで今なんです?その子がいることを考えるともっと前に迎え入れるべきでは無いのですか?」


 俺はそう聞いた。


「確かにそうだが、お前は怒らないのか?」


 父さんにそう聞かれた。


「そう言われましても、母さんが怒ってないのならば納得しているということですし、退魔師の家でしかも本家の当主ならば、むしろ一人しかいなかったことが問題では?それとも女遊びをしていた結果ですか?」


 逆にそう聞き返した。


「いやまあ、唯は納得しているし元々側室に入る予定だったのが今になっただけの事ではあるが....って、女遊びだと!?まだ五歳なのにどこでそんな言葉を聞いたんだ⁉︎」


 おっとまずい、ついつい前世で友人を揶揄っていた調子で言ってしまった。


「いえ、そんなことはどうでもいいのでなぜ今になって側室に迎え入れることになったのか話してください。」


 誤魔化すためにも俺はそう聞いた。


「あなた、元々この子に説明するために呼んだのでしょう?早く話してあげなさい」


 母さんも援護してくれた。


「でも、それはそれとして後でキッチリ聞かせてもらいますからね?蒼夜?」


 ふむ、どうやら逃げられなかったようだ。


 「それもそうだな、まずは、なぜ側室になるのが今になってしまったかを話そう」


 そう言って父さんは説明を始めた。





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