第28話 澪の評判
ケンカから数日経った頃からだろうか、クラスメイトの澪を見る目が変わった気がする。
時々声も掛けられている様だ。
逆にクラスメイトの俺を見る目が厳しくなった気もするが。
という事は多分小野田あたりから、澪は噂を流された可哀想な子で、俺は噂を流した極悪人みたいな感じで伝わっているのかもしれない。
だからといって、俺がクラスメイトから直接問い掛けられたり罵られたりする訳でも無く普段と全然変わりなかったので、きっとケンカが恐ろしく強いという話も伝わっているのかもしれない。
俺としては澪の立場が改善されるという事はとても良い事だと心から思える。
とまぁ、試験前に色々あったが時間というモノは誰にでも平等に訪れる。
勉強をした生徒にもしない生徒にも、試験日は平等に訪れて中間考査は開始され、そして終了した。
試験から数日経った昼休み、いつものベンチで3人で昼食を摂っていると七瀬が試験の話を振って来た。
「凪きゅん、試験6位おめでとう!
澪っちも3位凄いね!」
俺は悪い噂を少しだけ払拭出来たらと思い、普段よりも少しだけ正しく解答した結果、6位になった。
「あぁ、ありがとう。
廊下の張り出された結果を見たのか。」
「ありがとう、七瀬さんも赤点回避出来て良かったわね。
これからは普段の勉強もしっかりね。」
「えーっ…ボクはまた試験前に勉強会を開いてくれればそれで良いよ…。」
七瀬の顔が曇った。
やはり勉強が好きでは無い様だ。
「ところで凪きゅん、ボク最近料理の勉強をしてるんだけどさ、作り過ぎて処分に困ってるんだ。
だから時々お昼にボクが作ったお弁当を食べてくれないかな…?」
「ブフッ…!」
澪が飲んでいたお茶を吹いた。
「急にブッ込んで来たわね…
貴女料理出来ないハズじゃ…。」
「だから今、最近始めたって言ったじゃん。
どう?凪きゅん。」
「えっ…?俺は購買のパンばかりで飽きているから助かるが、七瀬が学校まで俺の弁当を持って来るのは大変だろう?
大丈夫なのか?」
「大丈夫大丈夫!
それより食べた時に感想を聞かせてよ。」
「あぁ、そんな事でいいのなら。
じゃあ食費は払うから、ちゃんと請求してくれ。」
「じゃ、早速明日から持って来るね!」
「あぁ…ありがとう。
そういえば弁当箱はどうするんだ?
俺は持って無いから今日買って来るが。」
「じゃ、今日一緒に帰る時にスーパーに寄って買おうよ。」
「あぁ、解った。」
「じゃあ凪君、その時ついでに夜ご飯と朝ご飯の食材も買いましょうね。
何か食べたいものはある?」
「あっあっ、ボクもボクも!
お弁当のおかず、何が食べたい?」
「何でもいいよ。」
「「何でもいいが1番困るの!」」
澪と七瀬が2人してハモっていた。
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