第21話 実験その2①
中庭に移動した後3人でベンチに座り、昼食を摂りながら早速俺が不幸体質で他人を巻き込まない様にずっとぼっちでいた事と、鳴沢が幸運体質であった為に彼女と実験を行ったところ俺の不幸体質が打ち消されたので一緒に登下校してもらっている事を平川に話した。
「へー、不幸体質ねぇ…
そんなコトもあるんだねぇ…。」
「こんな事を言っても、やっぱり信じられないよな。
…だが事実なんだ。
だから幸運体質である鳴沢が俺の近くに居ない時は、出来るだけ俺に近付かないでくれ、特に野外ではな。
それから、もしこの話を聞いて俺と一緒に居るのが嫌だったら、友達を解消してくれ。
気にする事は無い、俺が最初に不幸体質だと言わなかったのが悪いんだから。」
「佐竹君、ボクを
もし鳴沢さんが居なくてもボクはキミに近付くし。
イヤ、寧ろ抱き付くかもしれない。」
「「だっ、抱き付くぅ!?」」
「だって、どんな不幸が訪れても佐竹君、キミだけはいつも無事なんでしょう?
だったら危険な目に遭った時はキミの周りに居るより、ゼロ地点であるキミにしがみ付いているのが1番安全じゃない?」
…ゼロ地点は本当は安全なんかじゃ無い、ただ俺のチカラを使って自分自身の安全を確保しているだけだ。
只、確かに俺の背中にでもしがみ付いていてもらえれば一緒に居る人間を守り易くはある。
「…しかし、それだと問題点がある。
いつ起きるのか判らない不幸に対して、俺と一緒に居る人間は常に俺に引っ付いていなければならないのでは?」
「まぁ例え話だしね、本当に危険が迫ったらそうするって話で。
それに常に抱き付いてなくても、腕を組むくらいだったらいいんじゃないかな。」
「まぁ、確かに。
一緒に居る人間がそれで嫌じゃなければだけどな。」
「じゃあ早速今日の放課後ボクを駅まで送ってくれないかな?
ボク電車通学で是政駅からいつも通ってるの。
今度はボクで実験してみてよ、ボクが幸運体質かどうか。」
「…まぁ実際に目の前で体験しないと理解出来ない事ではあるしな…
今後のためにも知っておいてもらおうか。
鳴沢、今日の帰りは別行動でも大丈夫だ。」
「いいえ、私も情報共有したいから、少し離れた所から付いて行くわ。
あまりにも不幸度合いが酷かったら、私が直ぐに近くに行くから。」
「そうか、いつも助かる。」
「それから1つ提案があるんだけど、ボク友達同士でもっと砕けた名前呼びがしたいの。
何か苗字だと堅苦しいイメージがあるし、2人共言葉使い自体が堅苦しいっていうか…。
だから今度から2人の事は澪っちと凪っちって呼んでもいいかな?」
「あ…あぁ、俺は別に構わないが…。」
「私も好きに呼んでくれていいわ。」
「じゃあ2人共呼び方変えてみて。」
「えっ…と…じゃあ七瀬さんとなっ…凪君でどうかしら…?」
「ふむ…では俺は…鳴沢さんと平川さんで…」
「ちょっと待って、砕けた呼び方どころか更に酷くなってない!?」
「やっぱり名前呼びは俺には敷居が高い…。」
「「いいからいいから。」」
「そっ、そうか…?
じゃあ…澪…と七瀬で…。」
「「たいへんよくできました。」」
「ハモったわね。」
「だねー、凪きゅんは面白いねー。」
「呼び方が変わってるぞ。」
「そんなの判ればいいの、判れば。
気にしない気にしない。」
「じゃあ苗字呼びで…。」
「「それはダメ!」」
俺の困った顔をヨソに2人は大笑いしていた。
まぁ笑顔でいられるのは良い事だ。
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