第13話 独り暮らしの訳
「私、あの子の様子を見に行きたいわ…。」
「…えっ?
……エェーッ!?」
…どういう事!?
「ちょ、ちょっと待ってくれ、話が急過ぎて…
それに俺は独り暮らしだから、部屋は汚いし。」
「…急に言い出したのは悪いけれど、あの子を最初に飼おうとしたのは私よ?
元々心配だったけれど、そんな汚部屋だったら余計心配にもなるわ。
あの子はちゃんと生きてるんでしょうね!?」
「あぁ、元気に暮らしてるよ。
「…口煩い…?」
「あ…あぁ、ニャーニャーよく鳴いてるって事。」
危ない危ない、猫と喋ってるなんて知られたら、頭がおかしいヤツかと思われてしまう。
「そう、じゃあ生存を確認しに行かせてもらうわ。」
「生存確認って…言い方!
それにこんな事言っても信じられないとは思うが、俺は何故か不幸体質で、鳴沢が俺の回りに居ると事故に巻き込まれたりするかもしれないんだ。
だから一緒に居ない方がいい…。」
「…もしかして、それが貴方が普段独りでいる理由なのかしら?」
「……そうだ。」
俺はこのチカラのせいで、家庭が崩壊した。
小学生の頃事故に遭い、怪我が完治してから様々なチカラが使える様になった。
瞬間移動、予知、念動力、霊感…。
そのチカラを見た両親は、俺が何かに取り憑かれたのではないかと恐怖した。
そして更に不幸な出来事が立て続けに家族に降りかかる事により、最後には俺が元凶だと両親は非難し、ネグレクト、育児放棄という結果になった。
俺は急速に心が大人にならざるを得なかった。
この状況を引き起こしているのは自分のせいなのだから、両親が育児放棄で処罰の対象になる事は無い、児童相談所等にはバレずに俺が家族から離れればいいだけだ。
幸い両親はかなり金を稼ぐ仕事に就いているし、金だけは出してくれるそうなので、両親と話し合いの上、俺が上京して都内の学校に入り、独り暮らしをするという事で話は落ち着いた。
その後も紆余曲折を経て、現在は今のマンションに独りで暮らしている。
不幸体質だ、なんて急に言われても信じる訳が無いとは思ったが、鳴沢は茶化す事無く答えた。
「そんなの、実際に体験してみないと解らないわ。
とにかく、貴方の家に付いて行くから諦めなさい。」
「………はぁ、解った。
でもせめて明日にしてくれないか?
家の掃除もしたいし。」
「…あぁ、ベッドの下のモノを何とかしたいのね?
仕方ないわ、じゃあ明日まで待ってあげる。」
「もう無いからな!今全て焼いたから!」
「はいはい、明日ね。」
鳴沢は微笑みながら手を振って帰って行った。
…くっそ、誤魔化すためとはいえ、エロ本燃やしたなんて余計な事を言わなければ良かった…
黒歴史が増えてしまったじゃないか…(泣)。
あー、これから掃除しないと…面倒くさい。
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