第2話 超能力
俺はチカラ、超能力が使える。
小学生の頃交通事故に遭い頭を強く打って即手術、生死を彷徨った結果、何故か不思議な力が使える様になった。
何か1つ、例えばサイコキネシス(意志の力で物体に影響を与える超能力)だけ使えるとかでは無く、大体全般的に使える。
テレポート(瞬間移動)、パイロキネシス(発火させたり火を操る超能力)、アクアキネシス(周囲にある水を操る超能力)、ヒーリング(怪我や病気を治癒する超能力)等々沢山あるが、ここだけ聞けばラノベの異世界転生モノとかでいう魔法の様だな…。
まぁ俺は魔法を使える者というのは呼び方が違うだけで超能力者の事だと思っているが。
でもこの世界で俺以外に超能力や魔法を使える人間は見た事が無いし聞いた事も無い。
だから俺は現時点で自称最強の超能力者だ(笑)。
なので自分が超能力者だとバレない様に、人前では極力超能力を使わない様にしている。
バレたら国家機関とかに捕まってモルモットにされるのが怖いからだ。
しかし、予知だ、念写だと世間に能力名が知れ渡っているのだから、実は俺以外に本当は超能力者は存在しているんじゃないか…等と考えながら体育館で校長の長話を聞いていると、貧血なのか他のクラスの女子生徒がフラついて倒れそうになるのが見えた。
またか…俺はチカラを使って頭を打たない様にゆっくりと女生徒を横にさせると、近くにいる先生に合図して人が倒れている事を教えてやる。
校長もそれに気付いたのか話を終わらせ解散となった。
体育館から教室に移動し全員が席に着いた後、伊東先生に名前を呼ばれた生徒が自己紹介をしていく事となったのだが、順番は廊下側の先頭の男子から始まり、着々と進んでいった。
俺の自己紹介は名前と帰宅部という事しか言って無い。
1年の時もそうだったが、兎に角目立ちたく無いので今年もモブの陰キャぼっちとして、徹底して生きて行こうと思う。
ボーッと他のクラスメイトの話を聞いているうち、俺から見て左前方の教室の真ん中辺りに座っていた例の美少女が、名前を呼ばれたのか席から立った。
すると、
「…
名前だけ言って席に着いた。
マジか…と思ったのは俺だけでは無かった様で、軽く教室内がザワついた。
「オイオイ、それで終わりか?」
と伊東先生が突っ込みを入れていたが、彼女は無反応だった。
多摩川の土手では猫相手に普通に喋っていたから、言葉が話せない訳では無いだろうに…ミステリアスな子だなぁ…。
そう思っていたら俺の近くの女子達が、
「あぁ、あの子でしょ?大企業の社長の娘でツンツンしてて誰も相手にしないっていう…。」
「えっ?私はヤクザの一人娘で凄い不良だから、近付かない方がいいって聞いたけど?」
「どちらにしろ話し掛けない方がいいわね、怖いわぁ…。」
等というヒソヒソ話が聞こえた。
なる程…彼女には彼女の事情がありそうだが、俺も他人に構っていられない事情があるからな…
取り敢えず静観で。
自己紹介後の残りの時間はクラス委員等を決めて、今日の行事は終了となった。
明日からは通常の時間割の様だ。
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