異星人食糧問題【SF】
異星人は困っていた。地球人を食べすぎ、食料がなくなってきたからだ。他の星で食料を探してもいいが、地球人ほど美味しい物はない。
異星人の王は会議を始めた。なんとか食糧難を乗り切らなければ。
「地球人養殖計画の担当者は?」
王が言う。
「そろそろ到着するかと思います」
そこへ、地球人養殖計画の担当博士がやってきた。
「恐れながら報告したします。何度も試しましたが地球人は養殖に向いておりません」
「何?」
「基本特定のつがいでしか繁殖せず妊娠期間は10ヶ月。産むのはほとんど一人ずつ。養殖に時間がかかりすぎます」
王は困った。自分たちが先に滅んでしまう。
「そこで私から提案がございます」
「言ってみたまえ」
「地球人は、食物を育てることが得意です。地球人の旨味はその食物由来です」
「つまり?」
「地球人の食物を我々も食べればいいのです」
「地球人を食べずに、地球人の食物を食べる?」
「仰る通り」
「我々には食物を育てる能力はない。よし! 地球人どもを解放し、食物を作らせろ。今後、地球人を喰らうものは死刑だ!」
異星人の王は声高に宣言した。
地球人養殖担当の博士は部屋に戻り、異星人の皮を脱ぐ。
「……長い闘いだった」
【おわり】
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