星を巡る王子とメイドの会話

上山ナナイ

第1話 星空

そのメイドは王宮に仕えていた。しかし王子の前でお茶をこぼし、申し訳ございませんと謝り、家臣に殺されそうになった彼女を、王子は気に入った。


──次にやったら本当に殺すぞ──


と脅しつつも、その王子は彼女を生かしておいた。


王子様、王子様、見て。

お花ですよ。


庭園を見に来た王子に、彼女は小さな花を捧げる。


王子は、まだ子供の彼女に、私と結婚でもするつもりなのか。と言うと、彼女は赤面し、申し訳ございませんでした。とまた謝る。


とても気に入った。どうやって僕のものにしよう。妾にするのがいいのか?それとも襲って子供さえ出来れば妃にできるが──しかしそんなことをしたら彼女は恐らく死んでしまう。


王子様、王子様、このドレスの山はなんですか?お妃様のものですか?とっても素敵ですね。


彼女のことを考えて眠れぬ王子は、メイドの寝室に忍び込むと、白いワンピースを着て寝ている彼女がいた。


どうかなさいましたか?王子様?


彼女の、子供のように甘い香りが、王子を惹きつけ、同時に、子供相手に何を考えているのかと冷静さを、王子に取り戻させた。


今日は星空がよく見える。一緒に見に行かないか?


王子はメイドにエンパイアドレスを着させ、2人は城のテラスに出た。


あの星が、何千年前の過去の光か知っているか?そこにはもう、この城も、王宮も、私たちもいない。ただの光なき闇の世界だ。


そうですか?私達の祖先が仲良く暮らしているんじゃないですか?


そうか?そうだな。そこには玉座を巡る陰謀も、飢えた民もいない。お前も私とあの星に行きたいか?これをやろう。


彼女は、小さな星の形をしたペンダントを受け取った。いいか?私以外の誰にも見せるな。


君は私の星になって欲しい。












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星を巡る王子とメイドの会話 上山ナナイ @nanai_tori

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