30。
うわぁ、三十だよ私。
もうここまでくると素直に喜べないわ。
二十歳の時にワインではしゃいでたのが懐かしい。
でも、誕生日おめでとう、兄さん。
結婚生活は順調だよ。
まぁ、この動画毎年撮ってるんだって言ったら彼がちょっと拗ねた感じでふーんって。
ヤバいね。
結婚生活の危機だよ、どうしてくれるんだい兄さん!
なんてね、私のこれまでの動画見せたらすっごい笑われたよ。
それで私の方が拗ねたもん。
……でもね、泣いてくれたんだ。
お母さんの時のこと。
それでね、しっかりと私のこと支えるって。
私、今幸せ。
この人とならどんな壁だって乗り越えられるんだって、思った。
だから安心して兄さん。
私、大丈夫だから。
……もう、何泣いてんの?
あ、兄さんじゃ無くて旦那。
今ね、カメラ向けてくれてる。
で、泣いてやがんの。
……すんっ。えへへ、良いやつでしょ。私もそう思う。
あ、声入るから泣くなよ! 入ったら編集して音声カットしてやるから! 私はいいの! あとお喋りも禁止!
もちろん。
だって、これは私から兄さんへのプレゼントだもん。
え? 義理の弟として何か送りたいって?
だーめ。それは別のとこでやってよ。
それに兄さんは意外と嫉妬深いから、
「お前なぞに妹はやれーん!」
って言われちゃうよ。なんてね。
……私、楽しくやってるからね。
それじゃあ――
動画が切れ、次が始まる。
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