33。

 誕生日おめでとう、兄さん。

 しー。大きな声出しちゃダメだよ?

 ……えへへ、実は私達に子供が生まれたの。

 ほぉら、見て? 天使みたい。

 えへへ、兄さんにちょっと似てるかも、寝顔。

 私に似てるって? まぁ一緒に生まれてきたんだからね。

 うん。さっきまでずーっと泣いてたんだけど、今はおねむの時間みたい。

 えへへ。

 大変なこともあるけど、もう、す~っごく可愛くて、私、幸せ。

 泣いたり、笑ったり、眠ったり。

 いろんな顔を見せてくれて、見る度に胸の中がふわってする。

 明日はどんな顔を見せてくれるのかな? って毎日が楽しくて。

 明後日は? 明々後日は? 来週は? 来月は? 来年は? これから先、この子がどんどん大きくなって、ハイハイして、立って、歩いて、ママって呼んでくれて、歌ったり、踊ったり、走ったり、いろんなことができるようになって、ずーっと、ずーっと先、何気ない日々のこと、暖かくて穏やかな未来のこととか、そんな色々を考えるとね、幸せで、楽しくて、嬉しくて、でもね、なんでかな?

 ちょっと、泣いちゃうんだ。

 ぽろぽろと、悲しくないのに、止まらなかったんだ。

 でね。

 私が泣いてたら、この子がね、ほっぺたをぎゅってしたんだ。

 手を伸ばして、ぎゅー! って。

 びっくりしちゃった。

 だって、なんだか、小さい頃の兄さんみたいで――


  動画が切れ、次が始まる。

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