第17話 プレゼント

 「私は燈 ナツメ(あかり なつめ)っていいます!機材の依頼と受け取りですよね!?」

 防衛軍開発部隊。防衛軍の設備や、武器など様々なものの製造、改良、開発に力を入れている部隊である。機材の依頼と受け取りというのは、普段は防衛軍の依頼を受けるだけで、報酬は後回しにしてきたため、ここで目的のために報酬を受け取ろうと思いそれを頼んでいたものである。「惜しみなく全力で対応します!」と防衛軍の者たちは言ってくれた。

 「とりあえず、依頼の詳細を持ってきた。最低限のことはまとめてあるから、指定していない内容は無理の無いように自由にしてくれ。あと依頼していたモノを確認したいんだけど」

 凛大は使う言葉を間違えたようにも感じたけど気にせず要求を伝えた。

 「わかりました!少し待っててください」

 すごく活発な女性だなぁと感じながら出してもらったお茶を啜った。

 「こちらでーす!」

 そう言ってナツメさんは程よい大きさの二つの箱を持ってきた。二つの黒い箱だ。

 「開けていい?」

 「いいですよ!感想聞かせてください!」

 許可を得て、箱を開ける。

 「凄い良い出来だな」

 率直な感想を口から漏らした。

 「今の防衛軍が利用しているかなり高度な技術の結晶ですよ!」

 自信満々のナツメさんの声が部屋中に響いた。


 「ただいまぁ~」

 疲れ切った様子で家に帰ってきたのは凛大。

 「お帰り~‼」

 待ちわびたように出迎えてくれたのは桜夜だった。今はヒト型になっている。

 「ちょっと部屋で待ってて~」

 その声を聞いて、しょんぼりとしていたがおとなしく部屋に戻っていった。準備をして凛大も部屋に向かう。


 ちょっとした機材提供。でも、それだけではない。

 「腕貸して?」

 桜夜は凛大に言われるがままに腕を突き出す。そこに、凛大はバンドのようなものを巻き付けた。同時にバンドの中心から光が発せられる。

 「なにこれ?」

 「ちょっと防衛軍に頼んで作ってもらったんだぁ。これがあれば、いつでも会話ができるし、依頼内容とかいろいろ見ることができるよ!」

 それを聞いた桜夜は、溶ける様に笑顔になり、飛び跳ねて喜んだ。

 「いつでも会話できるの⁉」

 『そこなんだ』としか言いようがない反応だった。もちろん身に着けていない者は、このバンドが基本的に見えない。そして、このバンドを通して脳内での会話もできる。それだけ便利なものを作ってくれた防衛軍には少しだけ感謝している。

 そのまま、桜夜に使い方を教える。それからただひたすらにバンドでの脳内会話が続いていた。

 「ただいまぁ」

 母が帰ってきた。いつも通りのご飯。いつも通りだと思いたい風呂。いつも通りの就寝。

 きっと一般的な一日を終えた。

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