第16話 機材提供
「会話長引いたなぁ...」
少し焦り気味の凛大は、自転車を漕ぎ始める。
「とりあえずバイト行かないと」
独り言を呟きながら凛大はスピードを上げた。
自転車で30分。隣町のスーパーでのバイト。
考え事をしながら、ただひたすらに作業を進める。
「これも頼んでいいですかー?」
バイトの先輩が仕事を丸投げしてきた。チャラい感じのちょっと面倒な感じ。怖い訳でもなくただただ面倒くさがりの先輩で普段から仕事の丸投げをしてくる。
いつもは気にしないけど今日は、
「すみません。今日は用事があって、早く帰らないといけないんで」
その言葉を聞いた先輩は、非常に嫌そうに
「そうか...まぁ仕方ないか...」
と、言いながらそそくさと離れていった。
正直、嫌な先輩ではない。ホントに面倒くさがりなだけで、全然普通の人間。確かに僕は先輩の分、タダ働きしているけど僕には苦じゃないし、僕には裏の顔が見えている。常に遊んでいるフリをしながら株価の動きを見続け、お金を稼いでいる。そのお金はほとんど仕送り。自分以外のためにばかりお金を使っている。周囲から見たら物凄くサボってスマホばかりいじる面倒アルバイトにしか見えない。でも、超能力で裏まで見てしまえば、真実が見えてしまう。それ故に、この先輩を甘やかしている。
今日以外は。
バイトも終わり自転車を進める。思ったよりも夜遅くなってしまった。
裏山に行き人目のつかないことでいつも通り呟く。
「転移」
「凛大様!お久しぶりです」
場所は...防衛軍本部。
ついた直後、声をかけてきたのは一人の隊員。僕の記憶には残っていないが僕は知られているらしい。
「こんにちは。今何時か知らないけど...」
「こ、こんにちは!」
隊員はまるで、蘇った化石を見るような感じがした。まぁ、歓喜している。
「ごめん、開発部隊ってどこか分かる?」
「そこの突き当りを右に真っ直ぐ右に行ったところです!」
本当に、『!』がすべてについている。感謝を述べてその場を去った。
「ここだよな...」
言われたとおりに来たがあっているか分からない。扉は固いし表札みたいなものも書かれていなかった。
「これじゃ何の部屋かわからないって...」
そんな愚痴を呟いていると...
「は~い。ここが開発部隊でぇす。なんか文句ありますかぁ?」
すごく面倒そうに出てきたのは白衣を着崩した胸元が豊かな女の人だった。
「って、もしかして貴方が凛大さん?」
また、この人は知っている。というかいつ来ても全員同じ反応するから、逆に怖くなってくる。何か自分のことで噂が広まっているのだろうか...
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