第13話 生命の契約・桜夜
「我、この者に名を与える。『桜夜(さよ)』。そう名付け、この者と我が生命の契約を結ぶ」
そう言うと、ネコ(桜夜)の首元にペンダントが現れ、光は止んだ。
「なにこれ...なんか体が軽くなった?」
桜夜は、不思議そうに体中を見回す。
「生命の契約。簡単に言えば一心同体ってやつ。我が家に来たからには力ある限り働いてもらうし、そのためにも契約は強制的に結んでもらうよ」
と、言ってなかったけど当たり前とでも言うかのように言った。
生命の契約。それは、命そのもので契約するもの。一度結ぶと基本的に契約破棄できないものであり、それ相応の効果が互いにもたらされる。
大きく分けて三つ。
一つ目は、結んだもの(契約を開始した者:ここでは凛大)は結ばされた者(契約された者:ここでは桜夜)の身体能力や超能力を扱うことができる。逆に、結ばされた者は生命や超能力を扱うためのエネルギーの上限が結んだ者の分加算されるというもの。
二つ目は、結んだ者が死なない限り、結んだ者以外からの影響で結ばれた者が死ぬことはないというもの。
三つ目は、生命の契約において何パターンか存在する生命の一部を互いに共有するというもの。桜夜は『精神』である。精神力を共有することは、簡単に言えば集中力や超能力を扱うときのエネルギー操作の精度が上がったりする。慣れれば思考の共有なども行うようになるもの。
生命の契約は、凛大がこの『何でも屋』で新人を入れるときに、危険を考慮した上で、より楽に依頼をこなすための契約である。
「あんまり不便になることはないから大丈夫」
そう言う凛大を信じて桜夜が安心したのを凛大は感じ取った。
「この首輪みたいなのは?」
と、ペンダントに触れながら言った。
「首輪だよ。ネコ型の時に首輪になる。ヒト型の時の首輪は色々と危険だからその形にした。嫌だったり邪魔な時はネコ型じゃなければ外していいよ」
「...外さない」
ちょっと不機嫌そうに言っているが内心かなり喜んでいるのがよく伝わってくる。生命の契約は少々ずるいが、少し安心できる。間違えた使い方をしなければ素晴らしいものだと凛大は知った。
「ツンデレ?」
「...違う」
初めてツンデレというものを見た気がしたした凛大だった。
「桜夜ってなに?」
「名前。嫌なら働くときのコードネームって感じで...」
と、「嫌なら」という言葉に過剰に反応して、
「...れしい。嬉しい。いい名前...」
桜夜は否定し喜ぶ。『そんなに嬉しいのか...』と凛大は思う。
「今日は寝ようか」
と、超能力で体を綺麗にした凛大が言うと、
「待って。まだ聞いてないことがある」
そう言って桜夜は聞く。
「今日は女ってなに?」
その言葉に凛大は苦笑いをして答える。
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