第14話 今日は女の子

 荒れた大地に飛び交うのは明らかに一般人が見ることのないだろう光線。禍々しい光線と透き通るような空色の光線がぶつかり、地面にあたり、遠くに飛んでいき大きい爆音とともに爆散する。

 そんな光線を打ち合うのは一人の女性とヒト型の人でない何か。角の生えた人間にしては少し大きい体で、禍々しいオーラを放っている。

 光線を撃ち合い、物理的に殴り合ったりする。死闘。そのまま命をかけた戦闘をしていた...


 「今日は女の子って何?」

 その質問に苦笑いで答えた凛大はどう答えればよいか分からなかった。とにかく今は答えたくない。

 「超能力の代償や負荷を少なくするために性別が不確定になってて時々変わるんだ。もう慣れたけどやっぱり感覚が違って大変だね」

 普段通りの口調で答えた凛大は話を逸らすように桜夜が気づいてないことを言ってみる。

 「もう完全に女子高校生とか女子大学生みたいな口調だね」

 それを聞いた桜夜は自分の口調に気づいて驚いている。

 ヒト型になれるようにしたときから若干変化していたが、もう完全にどこかにいた猫の母親とは思えないくらい若返っている。

 「生命の契約で僕の生命エネルギーが沢山入ったから、人間で言うと20~30年分くらい若返ってるのかな?」

 「人間の学生...一緒に学校行ける?」

 「それはさすがに学生としてはいけないよ」

 凛大はまた、苦笑いで返した。

 「「おやすみ」」

 人間と猫はそう言って寝た。


 「一緒に学校行けないの?」

 母はもう仕事に行っているから、ヒト型のまま桜夜は言う。

 「今日は留守番してて。もしばれたら大変だから外には出ないでよ?何でも屋のサイトは見てていいから。もちろん、勝手に依頼受けたりしないでね?」

 桜夜はしょんぼりしながら了承した。

 「行ってきます」

 「早く帰ってきてね?」

 桜夜は全力で我慢している。カミネコ様とか言っていた頃の威厳は欠片も感じられなかった。

 今日は自転車での登校。理由は早く帰るため。バイトもあるし、徒歩では時間がかかる。もちろん、寄り道もしたかったから。

 いつも通りの学校。真面目そうな雰囲気で過ごし、最低限の会話で過ごす。もちろん仲良くしたくないわけではないので、笑顔とか楽しそうにしたりはする。僕がホントに一般高校生になれるのはここだけ。学生であることに変わりはない。

 「そういえば名前聞いてなかったね、名前なに?」

 その女子は急にしゃべりかけてきた。というより、考え事をしながら喋っていたから唐突に感じてしまった。

 「月霜凛大。君は?」

 「八柱 秋(やばしら あき)!よろしく!」

 珍しく喋りかけてきたクラスメイト。ほんとだったらきっと、こんな風に青春を謳歌していたのだろうか...と思いながら授業を受けていた。

 『まぁ、今の生活も十分青春を謳歌しているんだけどね』

 凛大は、家で留守番する桜夜を想像しながら黒板を眺めていた。

 

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