第11話 ネコちゃん狂戦士?

 そこには、明らかに生物としておかしく見える何かがいた。

 二足歩行で体調は2メートルほど。腕も首から上もない、太い胴体と足だけの体。紫の体に、蠢く赤いラインがたくさん入った模様。そして、人間で言うなら胸の真ん中辺りに一つの目玉。それは明らかにこの世のものとは思えない生物だった。

 謎の生物の前に、一匹の鳥がとまって寝ている。謎の生物は走り出し、鳥を蹴りつけた。鳥は抵抗できずに別の木に叩きつけられた。ソレは息のない鳥に近づき、謎の液体を腹部(?)からボタボタと落としている。おそらく唾液だ。目の少し下には、大きな口が開いていた。そのまま、倒れこむように鳥を喰らいだした。

 「捕獲したいとこだけど、これは討伐がいいかな...」

 凛大は、謎の生物の情報をメモしたり能力で動画として保存したりした。

 「あれ、ボコボコにしていいの?」

 ネコはやる気に満ち溢れている。というより、殺気や狂気に満ち溢れていた。

 「まぁいいけど...ケガしないようにね。あと大きな音とか光とかは遠くの人間とかにも気づかれるから使わないようにね」

 「大丈夫。そんなもの使わなくても平気」

 凛大の忠告を聞いてないかのように、前に歩き出す。

 謎の生物は耳があるのか知らないが、足音に反応するように振り向いた。模様で分かりずらく口は見えないが、血がたくさんついているように見える。

 「来い」

 その一言に反応したのか、謎の生物はネコに向かって走り出した。ネコは構える。そして少しずつ少しずつ、姿勢を低くしていく。謎の生物は、だいたい高校生が通学のために自転車をこぐくらいのスピード。

 謎の生物とネコの距離が3メートルほどになったとき、ネコは動いた。同時に周囲に突風が吹く。月明かりに照らされて舞う桜は、非常に美しい光景だった。

 ネコは謎の生物の血の付く場所の下あたり、つまり人間でいうへその辺りにパンチを繰り出していた。アニメで見るままの光景。拳は深くのめり込んでいる。そこから、紫色の液体が噴き出す。血液といったところか、謎の生物は心なしか小さくなり、膝と思われる部分から崩れ落ちた。

 ネコは追い打ちのように追加で殴りだした。

 「ストップ!ストップ!やりすぎ!」

 凛大は慌てて止めに入る。

 「まだ一度しか殴ってないぞ」

と、鼻息をたてるように不満を言っている。

 「保護・捕獲がメインだから、殺さなくてもいいの!起きたときもう一回殴って」

 凛大は電話をかけ始める。

 「すみません、動きを止めました。多分死んでないとは思います。どのくらいで到着しそうですかね?少しの間監視しときますが...」

 「監視しといてもらえると助かる。あと数分で到着する」

 電話の相手はそう言うと電話を切った。

 

 

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