第一幕 現実怪異

第4話 大事件の始まり

 「ふう...やっと着いた」

 超能力を使わないということには慣れている。小さいころから守ってきた決まりだ。でも、依頼のために力を使うようになってからは、日常生活がちょっと不便に感じることがある。力というものは感覚を狂わせると、そう実感させられる。

 時刻はまだ昼。母も全然帰らない時間だ。僕はとりあえずパソコンを開く。

 「なんか新しい依頼ないかなぁ...」

と、そう呟きながらWebサイトを適当に見て回る。

 「4件...」

 ぱっと目についたものをメモする。一つ目は、けがをなるべく早く治したいというもの。二つ目は、逃げた猫探し。三つ目は、荷物運び。そして四つ目は、調査?らしい。

 <けが治療>

・左足骨折

・明日は、サッカーの試合が控えている

・中学二年生の男子

 <猫探し>

・となりの県との県境にすむ米沢家の猫

・白い毛の猫

・運動好きであまりご飯は食べない

 <荷物運び>

・仕事が多すぎて手が回らない一般企業の人

・総重量は感覚的には300キロ

・書類などの紙と段ボール

 <調査?>

・とりあえず話を聞いてほしい


メモを取るとこんな感じ。

 とりあえず、準備を済ませ家の戸締りの確認をする。そして、靴を履いて自室に立つ。

 「転移」

 その一言で、辺りは白い壁に囲まれた一つの白いベッドがある部屋になった。ベッドには、一人の男の子がぼーっとしている。

 こんにちは。そう言おうとしたとき、

「もしかして何でも屋さん?だったら早く治して」

その声は、思春期というよな反抗期というような感じの言い方で、でも懇願するような切実な願いに聞こえた。

 「わかった。でも報酬がないと僕は動けない。報酬は準備できるかな?なんでもいい僕が優先するのは、お金とかじゃなく君や僕の人生だ。」

 その一言を聞いて、男の子は考えながら言った。

 「全然利益にならないけど言えるのは、俺が元通りになったら、絶対明日の大会優勝する!」

 「もし勝てなかったら?」

 その一言を聞いても表情や声色一つ変えずに言い切った。

 「絶対優勝する。できないことはない」

 かなり強気だ。

 「なら、文句なしだ。これ飲んで」

 男の子は渡した薬をゴクリと飲みこんだ。その瞬間、男の子は眠りにつく。僕は男の子の足に手をあてる。

 「あれ?なにしてたんだっけ...そうだ、足!」

 後日。

 間に合わないと思われた中学生、驚異の復活と大勝利!と少し話題になった。

 『依頼は完了。報酬も確認しました。くれぐれも利用規約に違反しないように。ご利用ありがとうございました』

と、一言書いた付箋を依頼主の宅習のノートに張り付けた。

 

 時は男の子の依頼後。

 「さてと...次の依頼っと」

 僕は次の依頼のために、病院のトイレから「転移」。空高くに移動した。県境に移動し、街を見下ろす。

 「ここでいいかな」

 僕は見まわしながら呟く。

 「千里眼」

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