第20話

「フキさん、神音さんはあの人がすきなのかしら」

ある日沙織はフキに尋ねてみた。

「分かりませんね。ずっと一人でいらしたから、いい人がいればフキも安心できます。でも沙織さんのことはずっと大事にされると思いますよ。沙織さまは家族ですから」

「家族って何なの?神音さんは、私のお父さんじゃない。全然関係ないじゃない。初めて会った時、神音さんは抱きしめてくれた。とっても暖かかった。両親も居ないも同然の私にとってそのぬくもりがどんなに嬉しかったか。・・・その日から神音さんは、私の一番大好きな人。」

沙織は泣き崩れた。

フキは沙織の気持ちににはうすうす気が付いていたが、今は慰めることしかできなかった。


コンサートの帰り道軽井沢の駅まで迎えに来た沙織は神音を車で拾って家路を辿っていた。

「ニニさんと結婚するんですか」

唐突に沙織は尋ねた。

「まだ、そこまでは考えていないよ。だけど、僕のような男をあんなに好きになってくれる人はそうそう現れないとは思っている」

「あの人が好きなの?」

「素敵な人だとは思ってる」

「ニニさんと結婚したら、私は邪魔ですから、でていきますから、もともと他人ですから」

沙織はぶっきらぼうに言い放った。

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シャミナード(森の精) amalfi @amalfi

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