第17話 中学時代

和馬かずま 視点】



 中学3年生の頃、真帆と拓哉が別れた。


 謎だ。

 なんでコイツら別れたんだろう?

 一ヶ月前まで2人はラブラブだったのに……。


 気になった俺は真帆に疑問を投げた。


「なんで拓哉と別れたんだよ……? 喧嘩でもしたのか?」

「ううん、喧嘩はしてないよ」

「じゃあどうして……」

「アイツ浮気してたんだ……それが許せなくて別れたの」

「……」


 どうやら、拓哉は浮気していたらしい。

 それが許せなくて真帆は拓哉を振ったのか。

 なるほど、色々と納得だ。


「アイツ、なんで浮気したんだろうね。もうアタシのこと好きじゃないのかな……? アタシって魅力ないのかな……?」

「真帆……」


 拓哉に浮気されて、真帆は凄く辛そうだった。

 涙目になっている真帆を見て、怒りが込み上げてくる。

 

 なんでだよ、拓哉っ。

 なんで真帆を裏切ったんだよっ。

 真帆を幸せにできるのはお前だけなんだぞ?

 なのに、どうしてっ……。





 ◇◇◇



「拓哉」

「ん? なんだよ、和馬?」

「お前……なんで真帆を裏切ったんだよ? なんで浮気なんかしたんだよ?」

「……」


 俺の言葉に拓哉は黙り込む。

 答えづらそうな顔をしていた。

  

「真帆は本当にお前のこと好きだったんだぞっ。なのに……どうして浮気したんだよ……。お前、真帆のこと嫌いなのか?」

「いや、真帆のことは嫌いじゃないよ」

「じゃあなんで浮気したんだよ……」

「飽きたんだよ」

「は?」

「だから飽きたんだよ、アイツの身体に」

「……」


 真帆の身体に飽きただと……?

 もう真帆アイツの身体に興奮できなくなったから他の女と浮気したってことか?

 そんなくだらない理由で真帆を裏切ったのか?


 なんだよそれ……。

 クズ過ぎるだろ、お前っ。


「あっ、そういえば和馬は真帆のこと好きだったよな?」

「っ……」


 拓哉の言葉に俺は動揺してしまう。

 コイツ、俺の好きな人が真帆だと気づいていたのか。


 動揺している俺を見て、拓哉はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「よかったな、和馬。今の真帆はフリーだぞ? 告白したらアイツと付き合えるかもな〜」

「……」

「まぁアイツは中古だけどなぁ。それでもいいならアイツに告白しろよ。ぷははははは」

「っ……」


 拓哉の言葉を聞いた途端、頭に血が上る。

 殴りたいっ。

 今すぐこの男の顔面をメリケンサックで殴りたいっ。

 けどダメだ……。

 そんなことしたら先生に怒られる。


 イライラしている俺に、拓哉が熱く語ってくる。

 

「真帆は最高の女だったよ。頼んだら何回もヤらせてくれた。なんでも俺の言うこと聞いてくれた。俺たち、生でシたこともあるんだぜ。羨ましいだろぉ〜?」

「……」

「あっ、そうだ。お前に俺と真帆がエッチしてる動画送ってやるよ。それ見ながら一人で寂しくオ●ニーでもしときな。ぷははははははっ」

「っ〜〜〜!?」

 

 この野郎っ! 今すぐ殺してやるっ!


 イライラしすぎて本気で拓哉の顔面を殴ってしまった。

 俺に殴られて、拓哉は床に崩れ落ちる。


「てめぇ……何すんだよっ!!」


 拓哉は床から立ち上がり、俺の腹部を本気で殴ってきた。


「ぐはっ……」


 腹部に強烈な痛みが走る。

 い、痛いっ……。


「陰キャのくせに調子乗んなよっ! このクソカスがぁ!」


 拓哉が何回も俺の顔面や腹部を殴ってくる。

 クソっ、コイツマジで強いなぁ……。

 やっぱり、帰宅部の俺じゃコイツには勝てない。


 拓哉に殴られる度に、激しい痛みが俺の体を襲う。

 痛みに耐えきれなくなった俺は涙を流してしまう。

 そんな俺を見て、色んな生徒が笑い始める。


「おい、見ろよ。和馬のヤツ泣いてるぜ」

「ぷはは、マジじゃん。ダッセェ」

「プクク、和馬くんの泣き顔ブサイク〜」

 

 拓哉に殴られている俺を、周りの生徒たちは楽しそうに見ていた。

 誰も俺のこと助けてくれない……。


 この出来事をキッカケに俺は拓哉のことが嫌いになった。

 連絡先やSNSもブロックしたよ。


 なんで真帆はこんな奴のこと好きなんだよ……。

 どうして俺じゃダメなんだよっ。

 クソっ、クソっ、クソっ、クソっ、クソっ、クソっ。

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