第18話 孤独
真帆に浮気されたあと、俺は人間不信になってしまった。
身内以外の人間が信用できなくなったんだ。
特に女が信用できない……。
今日も俺に告白してくる女の子がいたけど、『ごめん、君とは付き合えない』と断っておいた。
どうせ、付き合っても浮気されるだけだからな。
あと前まで仲良かった友達の連絡先やSNSも全てブロックしたよ。
すると、元友達が『なんで俺のことブロックしたんだよっ!』と怒ってきたけど、完全に無視している。
仲良かった元女友達にも『和馬くんっ、なんでアタシのことブロックしたの!?』と言われたけど、これも無視しておいた。
つまり、何が言いたいかと言うと、俺は一人ボッチになっちゃったんだ。
ボッチ生活は意外と楽しい。
というか、マジで楽だ。
ボッチはくだらない人間関係に悩まなくていいし、自分の趣味や勉強に時間を使える。
友達と遊びに行くとお金がめっちゃ減るけど、ぼっちはそういうことにお金を使わなくていいから節約もできる。
今月は友達と一度も遊びに行かなかったからめっちゃお金が貯まったよ。
これからはこのボッチ生活を楽しもう。
その方が楽だし。
なんてこと思っているうちに、やっと放課後になった。
もう放課後か。
さてと、近くの図書館で勉強するか。
家だと全然集中できないからな……。
勉強道具や教科書をカバンの中に仕舞ってから学校を後にする。
ボーっと図書館に向かって歩いていると、後ろから「和馬くん~!」と女性の声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声だった。
反射的に後ろを振り向くと、黒崎がいた。
ちっ、コイツか……。
「和馬くんっ、一緒に帰ろっ!」
「断るっ、一人で帰ってくれ」
「えぇぇ……いいじゃん、今日も一緒に帰ろうよっ~」
黒崎はそう言ってギュッと俺に抱き着いてきた。
黒崎にハグされた瞬間、異常な嫌悪感が押し寄せてくる。
「ちっ、俺に触るなぁぁ!!」
俺はそう言って黒崎から離れた。
すると、黒崎は辛そうな表情を浮かべる。
「そんなに私と帰るの嫌なの……?」
「嫌に決まってるだろっ。さっさと一人で帰れ」
「っ……わ、分かったよ。じゃあまたね、和馬くんっ」
「……」
黒崎は一人で帰り道を歩き始める。
そんな彼女を無視して俺は図書館に向かった。
黒崎のヤツ、まだ俺のこと好きなのか。
ちっ、さっさと俺のこと諦めろよっ……。
◇◇◇
【黒崎絵里 視点】
私は和馬くんのことが大好きだ。
だから『好きですっ!』と告白したんだけど振られてしまいました。
和馬くん、私のこと嫌いみたい……。
ぶっちゃけ、めっちゃショックです。
はぁ……なんで和馬くんは私のこと好きになってくれないんだろう?
私は君のこと大好きなのに……。
和馬くんのことが好きすぎて彼のフィギュアを作ってみました。
和馬くんの等身大タペストリーも作ってみました。
その等身大タペストリーは部屋の壁に飾ってますっ!
あとね、和馬くんの等身大抱き枕も作ってみたの。
いつもその等身大抱き枕を抱きしめながら寝てます!
「和馬くんっ、好きっ! 大好き! えへ、えへへ~」
私はそう言いながら等身大抱き枕を抱きしめる。
この枕を抱きしめると心がポカポカするんだよね。
本当に幸せだ。
「和馬くん♪」
一ヵ月前、私は知らないおじさんに襲われた。
胸やお尻を触ってきたの。
キスまでされた。
そんなとき、和馬くんが私のこと助けてくれたの。
「お前……同じクラスの黒崎だったよな?」
「う、うん……助けてくれてありがとうね」
「お、おう……。それより、早く交番に行くぞ。立てるか?」
「……」
あの時の和馬くん、本当にかっこよかったな。
やっぱり、和馬くんのことが好きっ!
大好き!
けど、和馬くんは私のこと嫌いみたい……。
今日も『一緒に帰ろう!』と言ってみたけど断られたよ。
あと連絡先とSNSまでブロックされちゃった。
はぁ……どうやったら和馬くんと付き合えるんだろう。
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