第25話 復讐

【真帆 視点】



 最近、和馬に新しい彼女ができた。

 新しい彼女の名前は黒崎くろさき絵里えり


 和馬と黒崎さんは本当にラブラブなの。

 近所を散歩している時、よく二人を見かけるけど凄く幸せそうだった。

 黒崎さんとイチャイチャしている和馬を見ていると、ギュッと胸が締め付けられる。

 嫉妬で頭が狂いそうになる……。


 クソっ、クソっ、クソっ、クソっ、クソっ。


 浮気なんかしなかったらよかった。

 拓哉と浮気してなかったら今もアタシは和馬と恋人だったのに……。

 もう遅いっ、今更、後悔しても全てが遅すぎる。

 もうこの恋は終わったんだっ。

 

 はぁ……どうしてこうなったんだろう。



 ◇◇◇





 今日もアタシは家に引きこもってゲームをしていた。

 自堕落な生活を送っているアタシを見て、パパとママが怒ってくる。

 お姉ちゃんにも説教されたよ。


 家族がウザすぎてアタシは家出した。

 今は近所のネカフェで暮らしている。


 ネカフェは快適だ。

 パソコンで色んなことできるし、気になっている漫画を読むこともできる。

 まさに天国だ。


 あぁぁ~、ネカフェは最高だ。

 ずっとここで暮らしてたいよ。

 


 ――三日後――


 ネカフェで自堕落な生活を送っていたせいでお金がなくなってしまった。

 どうしよう、こんなお金じゃ生活できないよ……。


 家に帰ろうかな? 

 いや、けど家に帰ったらまたパパとママに怒られる。

 それは嫌だ……。


 仕方ない、ネカフェで生活するためにお金を稼ぐか……。

 

 お金を稼ぐためにアタシは援助交際を始めた。

 出会い系アプリやSNSで仲良くなった人とリアルで会って、ホテルやネカフェの防音個室でエッチなことをする。


 大学生とエッチしたり。

 三人同時に相手したり。

 パパより年上のおじさんとエッチしたり。

 

 一応、避妊はしている。

 たまにSNSで仲良くなったおじさんが「10万円あげるから生でしないか?」と言ってくるけど、それはちゃんと断っている。

 ふふ、偉いでしょ?


「真帆ちゃん」

「ん? どしたの、おじさん?」

「悪いけど、もう一回相手してくれ」

「えぇぇ……さっき二回もしたじゃん。おじさん、まだ満足してないの?」

「あぁ、二回じゃ満足できないよ。お願いだからもう一回だけヤらせてくれっ」

「はぁ……ったくしょうがないな。その代わり、追加で五万円ちょうだいね?」

「ははっ、分かったよ」


 毎日、不特定多数の人とエッチしているうちに、アタシはお金持ちになった。

 よしっ、これならネカフェで生活できる。


 



 ◇◇◇




「う、嘘……」


 二か月も生理が来ていないことに気が付いた。


 気になったアタシはドラッグストアで妊娠検査薬を購入した。

 結論から言うとアタシは妊娠していた。


 和馬の子供かな……? 


 いや、それは絶対ないはずだ。

 和馬とエッチするときはちゃんと避妊していた。

 知らないおじさんとエッチする時も避妊していた。


 けど、拓哉とは何回も生でエッチしたことある。

 たぶんこの子の父親は拓哉だ。


 妊娠しちゃった。

 どうしようっ、どうすればいいんだろうっ……。


 とりあえず、パパとママに報告しようかな?

 いや、それはダメだっ。

 そんなことしたらまたパパとママに怒られるっ。

 これ以上怒られるのは嫌だよっ……。


 じゃあどうすればいいんだろう? 

 ダメだっ、分からないっ。

 本当にどうすればいいんだろう……。

 


 浮気したせいでアタシの人生は大きく変わってしまった。

 大好きな人に捨てられて、退学処分を受けて、まだ17歳なのに妊娠までしてしまった。


 アタシは今も和馬のことが大好きだ。

 彼を愛してる。

 けど、もう和馬はアタシのこと好きじゃない。

 たぶん、何回謝っても和馬はアタシのことを許してくれないだろう。

 もうアタシと和馬の関係は終わったんだっ。

 やり直すことはできない。


 全部、拓哉のせいだっ。

 拓哉がいなかったらアタシは和馬と幸せになれたのに……。

 許さないっ、あの男だけは絶対に許さないから。

 地獄に送ってやる。

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