第22話 謝罪

【真帆 視点】




 一週間前、アタシと拓哉は空き教室の中で激しい運動をした。


『真帆っ、気持いいだろ?』

『うん……凄く気持ちいいよっ、拓哉ぁ……』


 気持ちいいっ、拓哉とエッチするの本当に気持ちいいよっ。

 気持ち良すぎてもうエッチのことしか考えられないっ。


 アタシたちは何時間も空き教室の中で混ざり合う。

 和馬を裏切って拓哉と激しい運動をしていると、急に空き教室のドアが開かれた。

 現れたのは担任の先生だった。


 激しい運動をしているアタシと拓哉を見て、先生は混乱していた。

 

「お、お前らっ、何してんだぁぁぁぁっ!!!」


 や、ヤバいっ、先生にバレちゃったっ。

 どうしようっ……。

 

 空き教室でエッチしていたことが担任の先生にバレて、アタシたちは退学処分を受けた。

 それをパパとママに報告すると凄く怒られたよ。

 お姉ちゃんには呆れられた。

 誰もアタシの味方をしてくれない。

 どうしてこうなったんだろう……。




 退学したあと、アタシは部屋にひきこもってゲームをしていた。


「ちっ……コイツ、マジでウザいっ。死ねっ」


 ゲームで負けてイライラしてしまう。

 ムカつくっ、本当にムカつくっ。

 イライラしすぎてゲームのコントローラーを床に叩きつけてしまった。

 

 はぁ……なんでこんなことになったんだろうっ。

 分かってるっ、全部アタシのせいだ。


 拓哉と浮気しなかったら今も和馬と恋人だったのに……。


 和馬っ、会いたいよっ。

 今すぐアンタとキスしたいよっ。


 和馬っ、和馬っ、和馬っ、和馬っ、和馬っ。


 そうだっ、今から和馬に会って謝ろう。


 和馬は凄く優しいからたくさん謝ったら許してくれるかもしれない。

 そう思ったアタシは家を出て和馬の家に向かう。

 5分後、和馬の家に到着した。


 早速、アタシはインターホンを押して待機する。

 一分経っても家のドアは開かれない。


 あれ? 誰も家にいないのかな?

 アタシはもう一回だけインターホンを押す。

 けど、やっぱり反応はなかった。


 どうやら、家には誰もいないようだ。

 

「……仕方ない。和馬が帰ってくるまで待つか」


 ――5時間後――


「あっ、和馬っ!」 


 やっと和馬が家に帰ってきた。

 彼の顔を見た途端、胸の奥がドキドキと高鳴る。

 和馬、今日もカッコいいなぁ……。

 

 アタシは「和馬っ! 会いたかったよっ!」と言ってギュッと彼を抱きしめた。

 すると、和馬は眉を顰める。


「ちっ、俺に触るなっ!」

 

 和馬はそう言ってアタシから離れた。

 彼はアタシに冷たい視線を向けてくる。


 今日の和馬すごく怖いよっ。


「和馬……やっぱり、まだ怒ってるの?」

「当たり前だろっ。絶対にお前のことは許さないぞっ、このクソカスがっ」


 和馬の強い言葉にチクチクと胸が痛む。


「和馬っ……本当にごめんっ。もう二度と浮気しないから許して、お願いっ」

「許せるわけねぇだろっ。もう二度と俺に関わるなっ……」

「そんなのヤダよっ……ねぇお願い、アタシのこと見捨てないでっ。なんでもしてあげるからもう一回アタシの彼氏になってっ」

「いやいや、そんなの絶対無理だから。俺新しい彼女いるし」


 和馬の言葉にアタシは「は……?」と間抜けな声を漏らす。


「新しい彼女……? じょ、冗談でしょ?」

「冗談じゃねぇよ。最近、黒崎と恋人になったんだ。もうお前みたいな不衛生クソオマ●コには興味ねぇよ」

「そ、そんな……」


 あの和馬に新しい彼女……。


 和馬がアタシ以外の女の子とイチャイチャしているところを想像した瞬間、ボロボロと目から涙が出てくる。

 涙のせいで視界が霞む。

 前が見えない。


「うぅぅっ……ヤダよっ、和馬と別れたくない。ずっと一緒にいたいよ……」

「そんなの無理に決まってるだろ。もう二度と俺の前に現れるなっ。分かったな、このメス豚がぁ」


 泣いているアタシを無視して、和馬は家の中に入った。

 あの和馬に彼女……。


 う、嘘だよね? 

 そんなの絶対嘘だよね……?


 和馬は今もアタシのこと好きだよね?

 アタシたち、両想いだよね?


 和馬っ、和馬っ、和馬っ、和馬っ、和馬っ、和馬っ。

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