第15話 君なら触ってもいいよ……?

 最近、『可愛い女の子ランキング』二位の黒崎に告白された。

 告白は凄く嬉しかったけど、やっぱり黒崎のことは信用できない。


 だから彼女の告白には「悪いけど俺のことは諦めてくれ」と返事した。

 けど、黒崎は全然俺のこと諦めてくれない。

 いつも俺にアプローチを仕掛けてくるんだ。


 今日も朝からたくさんアピールしてきたよ……。

 正直、めっちゃ迷惑だ。


 黒崎アイツ、いつになったら俺のこと諦めてくれるんだろう……。




 人間の気持ちは永遠じゃない。

 時間や環境によって変化する。

 おそらく、黒崎の恋も一年ぐらいしたら冷めるだろう。

 それまで我慢するか。

 

 ずっと黒崎のことを考えているうちに、午後の授業が全て終わった。

 やっと放課後だ。

 

 あぁぁ……疲れた。

 さてと、家に帰るか。

 

 俺は教室を出て靴箱に移動する。

 上履きから外靴に履き替えていると、背後から「和馬くんっ♪」と女性の声が聞こえてきた。


 ん? なんだ? 

 気になった俺は身体を反転させると、黒崎がいた。

 どうやら、コイツが俺の名前を呼んだらしい。


「和馬くん、もう帰りだよね?」

「ああ、そうだけど」

「なら一緒に帰ろう」

「え……? なんで?」

「なんでって……好きな人と一緒に帰りたいからに決まってるでしょ」

「……」


 黒崎の顔は真っ赤になっていた。

 顔だけじゃなくて耳と首も赤い。

 恥ずかしいんだろう。


「……私と一緒に帰るの嫌かな?」

「嫌ですっ、一人で帰ってくださいっ」


 俺がそう言うと、黒崎は風船のように頬を膨らませる。

 怒っている様子だった。


「なんで一緒に帰ったらダメなの?」

「今日は一人で帰りたい気分なんだよ。悪いけど、俺と一緒に帰るのは諦めてくれ」

「嫌だっ! 和馬くんと一緒に帰りたいっ!」


 突如、黒崎がギュッと俺のことを抱きしめてきた。

 急にハグしてきたので、俺は驚いてしまう。


「お、おいっ、黒崎っ……何してるんだよっ。さっさと離れろっ」

「嫌だっ! 私と一緒に帰ってくれるまで絶対に離れないから!」


 黒崎の言葉に俺は心の中で「はぁ……」とため息を吐く。

 この女、マジで面倒くさいな……。

 

「はぁ……分かったよっ、一緒に帰るから離れてくれっ」

「え!? ほんと!? 一緒に帰ってくれるの!?」

「あぁ……」

「やったー! 和馬くんと一緒に帰れるっ! えへへ、凄く嬉しいっ!」


 喜びすぎだろ……。

 コイツ、どれだけ俺のこと好きなんだよ。




 ◇◇◇



 現在、俺は黒崎と一緒に帰り道を歩いていた。

 チラッと横を見ると、黒崎と目が合う。


 彼女は俺の顔を見て、「えへへ」と蕩けた笑顔を浮かべる。

 その笑顔が可愛くて思わずドキッとしてしまう。


 クソっ、コイツ本当に可愛いな。

 さすが可愛い女の子ランキング二位……。

 可愛すぎてドキドキが止まんない。


 突如、黒崎が腕を組んできた。

 ムニュっと柔らかい胸の感触が俺の腕に当たる。


「お、おいっ、何してんだよ、お前……」

「腕組んでるんだよっ。もしかしてダメだった?」

「ダメに決まってるだろ。今すぐ俺から離れろっ。つか、さっきからおっぱい当たってるぞ?」

「ふふ、わざと当ててるんだよっ。どう、私のおっぱいは? めっちゃ柔らかいでしょ?」

「……」


 確かに、黒崎のおっぱいは柔らかい。

 しかも、コイツのおっぱい結構デカいんだ。


 何カップなんだろう? 

 じーっと豊満な胸を見ていると、黒崎は「ぷくく」と悪戯に笑う。


「私のおっぱい気になるの?」

「っ……べ、別に気になってないから……」

「ふふ、嘘ついても無駄だよっ。さっきまでずっと私のおっぱい見てたじゃんっ」

「……」

「和馬くんなら私のおっぱい触ってもいいんだよ?」


 黒崎の言葉に俺は「え……?」と間抜けな声を漏らす。


「お前、今なんて言った?」

「おっぱい触ってもいいよ、って言ったんだよ」

「じょ、冗談だろ?」

「ん? 冗談じゃないよ? 君なら私のおっぱい好きにしていいよ。ほら早く揉みなよ」

「……」


 この大きな胸を好きにしていいだと……。

 黒崎の魅力的な提案に、俺はゴクリと喉を鳴らす。


 本当に黒崎の胸モミモミしていいのかな? 

 いやいや、それはダメだろっ。


 そういうのはカップルがやることだ。 

 いや、けど……黒崎のおっぱい揉んでみたいなぁ。


 黙り込んでいる俺を見て、黒崎は不思議そうな表情になる。


「私のおっぱい揉まないの?」

「は、はい……遠慮しときます」


 俺の返事に黒崎はムクーっと頬を膨らませる。


「もうっ、遠慮しなくていいのに……」

「……」


 コイツ、本当に積極的だな……。

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