第8話 別れる

「さてと、そろそろ決着つけるか」



 現在、俺は真帆の家の前にいた。

 早速、俺はインターホンを押す。

 しばらくして家のドアが開かれた。

 出てきたのは私服姿の真帆だった。


 上は白いTシャツ。下はショートパンツだった。


 俺の顔を見て、真帆は小首を傾げる。


「あれ? 和馬じゃん。こんな時間にどうしたの?」

「大事な話があるんだ……家に入れてくれ」

「え? あっ、うん……どうぞ」


 俺は『お邪魔します』と言って家の中に入る。

 玄関で靴を脱いでから真帆の部屋にやってきた。


 真帆の部屋を見て俺は困惑する。

 なんだこの部屋は……。

 めっちゃ汚いな。


 真帆の部屋はいつも以上に散らかっていた。

 ベッドのシーツはクチャクチャであり、ゴミ箱の中には大量のティッシュと0.01ミリの薄いアレが捨てられていた。


 たぶん、昨日も真帆と拓哉はこの部屋でたくさんエッチしたんだろうな。

 そのせいでこの部屋は散らかっているんだろう。


「なぁ真帆っ」

「ん? なに?」

「お前さ……浮気してるだろ?」

「っ!?」


 俺の言葉に真帆は声にもならない声を上げる。

 ガタガタと身体を震わせていた。


「も、もう何言ってんの? 浮気なんかしてるわけないでしょっ……?」

「……」


 真帆の言葉に俺は絶句する。


 あの真帆が俺に嘘をついた……。

 お前はそうやっていつも俺を騙していたのか?


「本当に浮気してないのか?」

「うん、してないよっ……」

「じゃあこの動画はなんだ?」


 俺はカバンの中からスマホを取り出す。

 例のハメ撮り動画を再生してからスマホの画面を真帆に見せた。


『やっぱり生ですんのは最高だな、真帆っ』

『うんっ、凄く気持ちいいねぇ……』

『はは、お前の顔、凄くエッチになってるぞ?』

『だ、だってぇ拓哉とエッチぃことすんの凄く気持ちいいんだもんっ。責任取ってよね……』

『おうっ、今日も朝まで可愛がってやるからな』

『嬉しいっ♡』


 例のハメ撮り動画を見て、真帆はガタガタと歯を震わせる。

 彼女の顔は真っ青になっていた。

 俺は動画を止めてから真帆に話しかけた。


「お前……なんで拓哉と浮気したんだよっ。まだアイツのこと好きなのか?」

「違うっ、あんなヤツ好きじゃないよっ。アタシが好きなのは和馬だけだよ……?」

「俺が好きだと……? じゃあなんで拓哉と浮気したんだよ? なんであんな奴と生でエッチしたんだよっ?」

「それはその……」


 俺の言葉に真帆は返事を窮する。

 しばらくして真帆は口を開いた。


「アタシね、拓哉に脅されてたの……」

「なに……?」


 真帆の言葉に俺は眉を顰める。


「拓哉に脅されてただと? それは本当なのか?」

「うん……本当だよ」

「けどお前、拓哉と楽しそうにセックスしてたじゃねぇかっ」

「それは……」


 真帆は楽しそうに拓哉とエッチしていた。

 全然苦しんでいるようには見えなかった。


「どうせ、拓哉に脅されてたって話も嘘なんだろ?」

「ち、違うっ! 嘘じゃないもんっ! 本当にアタシは――」


 真帆の言葉を遮るように俺は口を開いた。


「ちっ……もう喋るなっ。お前の言い訳なんか聞きたくないっ」

 

 真帆と話していると本当にイライラする。

 今すぐこの女を殴りたくて仕方ない。


 俺は「はぁ……」と深いため息を吐いてから口を開いた。


「もう俺とお前は恋人じゃないっ。赤の他人だっ。二度と俺に話しかけるなよっ、分かったな?」


 俺がそう言うと、真帆は「ぇ……?」と絶望交じりの声を漏らす。

 目には熱い涙が溜まっていた。


「嫌だよっ。アタシ和馬と別れたくない……ずっとアンタと一緒にいたいよっ。ねぇお願いっ、二度と浮気しないからアタシのこと許してっ……」

「二度と浮気しないだと? 嘘つけっ!! このクソビッチがぁぁぁ!! どうせ、また拓哉と浮気するくせに!!」

「お願いっ! アタシのこと信じてっ! 絶対に浮気しないから!!」

「浮気女のこと信用できるわけねぇだろっ!! もう二度と俺に話しかけるなぁ!!」


 俺の強い言葉に真帆はボロボロと涙を流し始める。

 泣いている真帆を見て、怒りが込み上げてくる。


 なんでお前が泣いてるんだよっ。

 泣きたいのは俺の方だっ……。


 チッ、この女は本当にムカつくな……。

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