第3話 ドタキャン

 今日、俺に可愛い彼女ができた。

 彼女の名前は水谷みずたに真帆まほ。俺の幼馴染だ。


 まさか、真帆も俺のこと好きだったとはな。

 今でも驚きを隠せなかった。

 

 真帆は男子生徒に大人気だ。

 今月も同級生や先輩に告白された、と本人が言っていた。


 はっきり言って、俺と真帆は釣り合っていない。

 このままじゃ真帆に愛想尽かされるかもしれないっ。

 下手したら、他の男に真帆を奪われるかもしれない。


 それは嫌だっ。誰にも真帆を渡したくない。アイツは俺だけのモノだっ。


 よしっ、こうなったら真帆に相応しい男になるぞっ。


 真帆に相応しい男になるために、まず俺は近所のスポーツジムに通い始めた。

 ジムで激しい筋トレをしているうちに、俺の身体はムキムキになった。


 たまにクラスの男子が『お前の身体すげぇぇな。腹筋バキバキじゃん』と褒めてくる。

 真帆にも『アンタの身体かっこよくなったね』と褒めてもらった。


 見た目にも気遣うようになった。

 

 今まで母さんに髪を切ってもらっていたけど、かっこいい男になるために美容院で髪を切ってもらった。


 あと前までメガネをかけていたけど、今はコンタクトにしている。

 コンタクトにした途端、色んな女子生徒が『きゃぁぁぁ♡ 和馬くんっ、かっこいいぃぃ♡』と褒めてくれたよ。

 クラスの女子生徒に『好きです』と告白までされた。


 もちろん、その告白は断ったよ。俺には大切な彼女がいるからな。



 

 ◇◇◇





 真帆と恋人になって三か月が経過した。

 三か月経っても俺と真帆は仲良しだ。


 昨日も真帆アイツとデートしたよ。

 一緒に映画を観て、ファミレスでお昼ご飯を食べて、夜は彼女の家で何回もエッチした。


 真帆とエッチすんの本当に気持ち良かったなぁ。

 彼女の身体が気持ち良すぎて連続で三回も求めてしまったよ。

 連続で三回は流石にヤりすぎたかな……。

 

 行為中、真帆は凄く気持ち良さそうな声を出していた。


 正直演技してるようにしか見えなかったけど、本人は「も、もう何言ってんのっ。演技なわけないでしょっ」と言っていた。

 あれ本当に演技じゃないのかな? 

 





 

 今日も一時から真帆と遊ぶ約束をしている。しかも、今日は真帆が俺の家に遊びに来るんだ。


 楽しみだな。早くアイツと遊びたいっ。


 真帆が来る前に、俺はリビングや自室の掃除をする。

 エロ本やエロ動画はクローゼットの中に隠しておいた。

 よし、これで問題ないだろう。


 チラッとリビングの時計に目を向けると、『1時30分』と表示されていた。

 アイツ、遅いな。もう30分遅刻だぞ?


 もしかして、何かあったのかな?


 気になった俺は真帆に電話した。しばらくしてやっと電話が繋がった。


「おい、真帆。今どこにいるんだっ? 30分遅刻だぞ?」

『え? あっ……ごめんっ、今日遊べなくなったんだ』


 真帆の言葉に俺は「は……?」と間抜けな声を漏らす。


「なんで遊べなくなったんだよ? 用事でもあるのか?」

『えーっと、その……今から家族とお出かけすることになったんだ。だから――んっんっ……あぁっあぁっ』


 突如、スマホのスピーカーから『あっあっ……』と甘い声が聞こえてきた。

 ん? なんだこの声は? 


「おい、真帆、大丈夫か?」

『うん、大丈夫だよっ……気にしないでっ。あっあっ……んっんっ』


 スマホのスピーカーから真帆の切ない声が聞こえてくる。


「お、おいっ、本当に大丈夫なのか?」

『……大丈夫、大丈夫。全然問題ないよ、気にしないで……んっんっ、あっあっ……も、もうそこはダメだってぇ……』


 再びスマホのスピーカーから甘い声が聞こえてくる。ギシギシとベッドの軋む音まで聞こえてきた。

 

「ご、ごめんっ、和馬っ、ママに呼ばれたから電話切るね。また夜電話するから』


 真帆はそう言って電話を切った。部屋全体が静まり帰る。


 今日のアイツ、なんか変だったな。何かあったのかな?

 

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