第5話 NTR

【和馬 視点】




「おい、中谷」


 放課後、担任の先生が俺に話しかけてきた。

 ん? 今日はなんだ?


「今日はなんですか、先生?」

「水谷のヤツ、今日も学校欠席してるみたいなんだ。悪いが、またアイツにこのプリントを届けてくれないか?」


 先生の言葉に俺は「え……?」と声を漏らす。


真帆アイツ、今日も休んでるんですか……?」

「ああ、体調が悪いらしい」

「そうですか……」


 真帆のヤツ、今日も休んでるのか。

 本当に大丈夫なのかな? 凄く心配だ。


 先生からプリントを受け取ったあと、俺は学校を後にして真帆の家に向かう。


 10分後、真帆の家に到着した。

 俺は玄関の前に立ってインターホンを押す。

 1分経っても家のドアは開かれない。

 あれ? 誰もいないのかな?


 俺はもう一回インターホンを押す。

 けど、反応はなかった。

 やっぱり、誰も家にいないのかな?


「んっんっ……あぁっあぁっ」


 突如、家の中から「んっんっ」と女性の甘い声が聞こえてきた。

 ん? なんだ、この声は?

 家に誰かいるのか?


 気になった俺は真帆のお母さんにもらった合鍵を使って家のドアを開ける。

 玄関で靴を脱いでいると、またリビングから「んっんっんっ……」と女性の甘い声が聞こえてきた。

 これは真帆の声か? 


 とりあえず、俺は玄関で靴を脱いでリビングに移動する。

 そっとリビングの中を覗くと、真帆と拓哉の姿が視界に入った。

 

 よく観察すると、真帆と拓哉は一糸纏わぬ姿だった。

 リビングの床には服や下着が散らばっている。


 え……? なんでアイツら裸なんだよ?

 つか、なんで拓哉が真帆の家にいるんだ?

 意味がわかんねぇ……。


「真帆っ、おっぱい触っていい?」

「も、もう仕方ないなぁ……特別だよ?」

「サンキュー」


 拓哉は真帆の胸に手を伸ばす。

 拓哉の指先が豊満な胸に食い込んだ。


 おいおい、なんで拓哉が真帆の胸を揉んでるんだよっ。

 真帆の胸は俺のモノだぞ?

 つか、なんで真帆は抵抗しないんだ……?


 ま、まさか、真帆は浮気してるのか? 

 ずっと俺を裏切って拓哉とイチャイチャしていたのか?


 いやいや、そんなの絶対にありえないっ。

 あの真帆が浮気なんかするわけないだろ。

 俺は何を考えてるんだっ……。


「んっんっ……も、もう拓哉、おっぱいの揉み方やらしいよっ……」

「こうやってされるの好きなくせに」

「そ、そりゃ好きだけどさ……」


 拓哉が胸を揉む度に、真帆は甘い吐息を漏らす。

 今の彼女はとても幸せそうだった。


「あぁぁ……もうダメだ、我慢できない。真帆っ、もう一回しようぜっ」

「え? けど、もうゴムないよ?」

「あっ、本当だな……。なら生でしようぜ」

「な、生は流石に……」

「えぇぇぇ……いいじゃん。今日も生でしようぜ。なぁ? いいだろ?」

「も、もうしょうがないなぁ……今日だけだよ?」

「サンキュー、真帆」

「拓哉ぁ……ちゅっ、ちゅっ」


 二人は顔を近づけて唇を重ねる。

 あの真帆が俺以外の男とキスしてる。

 しかも、凄く楽しそうに……。


 なんだこれは……? 

 本当に現実なのか?


 チュッチュっと楽しそうにキスしている真帆と拓哉を見て、激しい眩暈に襲われる。

 キーンと耳鳴りまでする。


 何十秒もキスしていた二人は唇を離す。


「真帆、もう一回キスしようぜ」

「うん、いいよ……ちゅっ、んっんっ……ちゅっ」


 再び真帆と拓哉は熱いキスを繰り広げる。


 クソっ、何がどうなってんだ? 

 意味がわかんねぇ……。

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