新世界 大和 如月の国より 序章

 新世界編 序章プロローグ



――――――結婚式。


   それは異様な結婚式だった。


 白無垢の花嫁はそれはそれは美しい銀の髪を、高く結い上げ、白い肌に赤い紅をさして、この上なく儚げで美しかったが、その顔は、少し悲しそうで、ち―――っとも晴れの日を迎える花嫁にしては、嬉しそうな顔じゃなかった。


 一方、黒い袴を着た花婿となる男は、そんな愛しい女性ヒトを見つめるのに夢中で、せっかくの端正な顔が、デレデレと鼻の下をのばしっぱなしで、会場中の男共の視線や殺意、つまり「あいつ死ね!」とか「さっさと離婚すればいい・・・」とかいう、どっす黒い皆からの嫉妬やら妬みやらの、負の思念にま――――ったく無頓着であった。



そしてこの二人の、あまりよろしくない結婚式から、この物語は、はじまる。


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