第6話 可愛すぎだろ

 誰にも相談できない。

 学生を好きになってしまった・・・。

 彼女の好意を受け入れるのか?

 いや、そんな簡単なわけはない。

 いや、でも、好きなんだ。

 でも、犯罪。

 でも、告白されて両想いなわけだし。

 でも・・・学校にばれたら・・・。


 でも・・・真剣なわけだし・・・。


「うううう。」

 ベットの上で呻く。

 頭の中が忙しすぎる。

「よし。」

 こういう時はネットの検索に限る。

 教師 生徒 恋愛

 で検索をかける。

「・・・。」

 法律、条例、倫理、そのどれもがアウト。

 許されない。

 もし許されるなら彼女が卒業してからだろう。

「あと一年以上ある・・・。」

 それまで自分の心が我慢できるか心配だ。


 放課後。図書室の前に立っている。

 開けるべきか開けないべきか、それが問題だ。

 中に行けば美都がいるかもしれません。そしていたとして何の話をすれば良いのだろうか。

「・・・。」

 胸の鼓動が朝からずっと早いのを感じる。病気なのかと疑いたくなるレベルだ。

「先生。」

 撃ち抜かれたように背中がピンと伸びた。

 振り向くとそこには美都がいた。

「何で立ち止まってるんですか?」

「いや、別に・・・。」

「もしかして会いに来てくれたんですか?」

「いや、あの・・・。」

「いや、あの?何ですか?」

 美都はいたずらっぽい笑顔を向けてこちらを見ている。

 なんでこの子はこんなにグイグイ来れるんだろうか。

「先生、ライン交換しましょう。」

「え?」

「だってラインの方がすぐに連絡取れるじゃないですか。」

「いや、そうだけど・・・。」

「だけど?」

「・・・。」

「嫌ですか?」

 美都の顔が近づく。綺麗な肌と澄んだ瞳に見入ってしまう。この状況で断れるわけがない。

「分かった。」

「大丈夫ですよ・・・。」

 ジッとこちらを見つめる。

「何が?」

「私この事誰にも言いませんから。」

 小声で悪戯っぽい笑顔を向ける。

「こっちです。」

 そう言って美都は周りに人がいないのを確認して、こちらの手を握り人気のない階段わきへと誘導した。

「先生、携帯出してください。」

「お、おう・・・。」

 言われるがままに携帯を出し、美都がそれを手に取り操作し始める。

 体が近い。良い匂いがする。

「・・・。」

 ヤバすぎる。可愛すぎる。

 これが本当に大人しかった美都なのだろうか?

 あまりにもグイグイきすぎる。

 ここで動揺してしまっては自分が童貞なのがばれてしまう。死んでも冷静を保たなくてはいけない。

「はい、先生。出来ました。」

「おう・・・ありがとう。」

「じゃあ早速今日連絡しますね。」

「え、今日・・・」

 こちらが最後まで言い終わらないうちに美都はかけて行ってしまった。

「動揺しすぎだろ、俺。」

 心臓が強く動く過ぎて死ぬんじゃないかと心配になった。


 


 

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