7話

5歳になった農繁期が過ぎると今年5歳になる子供たちは教会に集められる


ナルヴィ村では今年18人が対象になる

聖典神話の本を読み聞かせ宗教の教えを覚えていくのだ

人族はみな同じ宗教だから国や地域は問わず5歳になったら勉強する


この世界の季節は春夏秋冬の4つで

ほとんど前世と同じで1年間360日

30日の12ヶ月、1週間が5日で火水風雷光の曜日があり光の日が休日になっている

だから、この教会学校も週4日ある


5歳から、読み聞かせや文字の練習で勉強をして

創造神と司る神を5柱を綺麗な字で書ければ

いつ辞めてもいいとなっていて人族は識字率が高いとされている


だいたい5歳~8歳ぐらいの子が多く稀に10歳を過ぎている女の子がいる

その子たちは子供のめんどうを見るのが好きなのか

めんどうを見ると食事がもらえるからか

シスターでも目指しているのか献身的に教会の手伝いをしている


読み書きもできるし、聖典神話の本も家にあって読んでいるから

僕には教会学校に行く必要は無いのだが

5歳は全員、1年は受けないといけないのだ


「ぉぃ......おい、おまえオレの話をきけ!!」怒り狂った子供が叫んでいる......

灰色の強いアッシュブラウンのショートヘアに気味がかったグレーの瞳の

自己顕示欲の強い印象の男の子だ


「僕?」

「当たり前だ! 他に誰がいる!」

「なに?何かよぅ?」

「ダルそうにするな! お前、お前を領主の息子であり次の村長になる俺の家来にしてやる!」

「いえ結構です、他をあたってみてください」僕はその場をさろうとした


「まて、なんだその馬鹿にした態度は!! 決闘だぁ!!」

言うが早いか手が早いか殴りかかってきた


子供のへなちょこパンチ当たっても痛くないし

逃げることは簡単だと思っているとコイツは執拗に顔を殴ろうとしてくる

顔を殴られるのは流石に恐い、僕も小さいから痛いかもしれないと逃げていたが


パチン!避けきれず殴られた

痛い!?なんで殴られなきゃなんないんだ!

怒りが吹き出してくる


最近よく思うがこの体に心が引っ張られているような

本当に子供に戻っているような感覚がある


「やったなー!!」

そこからは髪を掴みあって殴りあって叩きあっての繰り返しで

シスターから止められてもすぐに再開し叩きあう


もちろん子供の喧嘩に魔法なんて使わないので

5歳でお互い小さく腕力の差なんてなく

気持ちで負けて泣いてしまったら本当に負けで序列が決まってしまう!


絶対に負けられない闘いがここにはある!!

そう思いながらまた叩きあう、すると大人の男の声で

「レオナルド、シリウスやめなさい」と聞こえ手を止めた


そっと見上げると怒った神父がいた


いくら大人の心を持っていても体が子供だと

怒られるのはなかなか恐ろしいものである......


さんざん怒られたうえに保護者に手紙を書かれた

1枚250ジェニス2人で500ジェニスかけてまでの手紙だ、

これはヤバい気がする......


教会学校が終わり家に帰り

母に手紙を渡す、一読して

「お父さんに渡しておいで」と怒気を感じる低い声で手紙を返される


いったい何が書いてあるんだ!?

おそるおそる薪割りをしている父のところに行く

父は一読して「村長には伝えておくから、明日の帰りにレオを連れて来なさい」

それだけ言うと父は薪割りに戻った


えっ⁉ だから、なにが書いてあるんだ。


あくる日、教会に行って昨日の男の子に話しかける

「父さんが村長には伝えておくから、今日おまえを家に連れてこいって言ってた、

お前のことをレオって呼んでいたけど父さんを知っているのか?」


「お前じゃない! 俺はレオナルドだ! お前の父さんは

村の見回りの報告で家にくるから知ってる」

「お前じゃない! 僕はシリウスだ!」まねして言ってみた


「プッ ハハハ ハハハー ハァァ」

「アハハハ  ハハハー ハァ」

2人で笑いあった。


「わかったよ、シリウス俺のことはレオでいいから」

「じゃあレオ、昨日の手紙の内容はなんだったか知ってるか?

 うちは見せてくれなかったから知らないんだ」


「あぁ昨日の手紙は、義父が読んでいたのを覗き読みしたら、

2人が暴れて手がつけられないから、続くようなら教会学校に来ないでいいと書いていた」

「それは、怒るな......昨日は父さんと母さんが遅くまで話していたみたいだし......」

「シリウスの家は厳しそうだな、家は反省しろとゲンコツ1回だけだったぜ」


「いやいや、今日レオも一緒に行くんだよ、村長に伝えてるらしいから」

「アッ! そうだった、いったいどうなるんだ?ハァ~」

「どうなるんだろなぁ~」

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