第3話

2歳になりようやく家族の名前が判った。

父親はアルバート 30歳

母親はエマ 30歳

兄のバージル 8歳

姉のアンナ 5歳

そして、僕がシリウス

5人家族の次男坊ということになる。

この世界では上流階級でないと家名はないらしい


足腰も強くなり、家の中を縦横無尽に歩き回ってみたが

多分だが、この家は裕福な方なのだと思う

家は二階建ての、白い漆喰を塗った木造建築で4LDKプラス納屋

窓から見えるのは、のどかな田園風景

他の家もちらほら見えるが、みなこの家より随分小さい


それに魔石をかなり贅沢に使っているようだ

商店に買い物に行くときに、見かける感じでは魔石は一般的ではなさそうだ

煤がでて臭いがする質の低いロウソクなど使わずに

小さな火の魔石をカンテラに入れて何個も使っているので家は明るい


風呂小屋がある家は見かけたこともない

一般的にはタライにお湯を張り済ませているようでタライの水を捨てる光景を

何度か目にした。


魔石は使える属性の魔力を充填することで使えるようだ

父は火魔法が使えるので、白くなった魔石に火魔法を充填している

白い魔石が火魔法を充填すると透明感がでてきて赤く光るようになる

水魔法は青く、風魔法は緑に、雷魔法は黄色くなる


他に魔法の種類があるのかはわからないが

父が火、母が水と雷の二種類でき、兄は風魔法を使える

姉は魔法の才能は無かったようだ


両親は村の警備と畑仕事それに、魔石の充填を仕事にしているようで

父は朝夕の二回、剣を持ち村を巡回して

昼は家族で農作業、夜は頼まれた魔石への充填と、日々を小忙しくしている


ここ最近の一番の出来事はついに魔法が使えるようになったのだ!

魔法が使えなかった理由が判明した、まず魔法を使えるようになるためには

詠唱でその魔法への魔力変換を体で覚える必要がある


この家では5歳になると子供に魔法の素質があるかを見極めることをする

姉が5歳になってから魔法詠唱を教えていた

それをこっそり見て覚えたのだ


詠唱は 

火 闇夜を照らす火よ、出でよ ファイア

水 清らかなる水よ我が手に集え ウォーター

風 風を起こし吹き抜けよ ウィンドウ

雷 雷よ、一条の光となれ ライトニング


これを唱え反応があれば成功、唱えた魔法の素質があると判断される

2歳になり舌が長くなったのか、多少は滑舌も良くなった僕は、ベッドの上で

覚えた魔法詠唱を試してみた「やみよをてらすひよいでよふぁいあ」

手のひらにロウソクの火ほどの火がでる!!

おぉ!!と驚いたぐらいで頭痛がして、そのままベッドに倒れる……


しばらく経ち頭痛がやんだ、痛いが、かき氷を一気食いした時のような痛みかたなので

脳には影響がなさそうだと思った


だがそれよりも、手から火が出たのだ!


小さなロウソクの火ほどだが僕には、火魔法の素質がある

異世界に生まれ変わって今が一番嬉しく、そしてファンタジーを身をもって体感できたのだった

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