第2話

異世界転生していた事が解ってから半年が過ぎて


この世界での生活も1年が過ぎたのでもう一度


仮説を立てて事柄を整理してみた





まず何かがあって前世の俺は死に


魂の浄化が完全ではなく自我を持ったまま


生まれ変わって僕になった





転生したところが地球ではない


異世界で魔法がある世界だった




言葉に関してはだいぶ分かるようになったが


文字はまだまだ解読不明だ





そこで思ったのは


ファイストスの円盤、ロンゴロンゴ、マヤの象形文字などの


全く解読されていない文字の一部は


僕のように違う世界からの来訪者だったのではないか?





ヴォイニッチ手稿にいたっては挿し絵付きの文章で書かれているが


解き明かされていないのだ


この世界に日本語で文章を書き残せば


ヴォイニッチ手稿のように後の世の謎の1つになるのかもしれない





次に暮らしについてはこの村は中世ヨーロッパの田舎


5から10世紀ぐらいの感じなのだろうか


しかしながら生活は以外と快適である、やはり魔法の影響が大きい





水魔法は母が使え毎朝、台所の甕に水を満たしている


水が十分に使えるお陰でこの家には風呂がある





家の外に木の板で簡素な小屋がありその中に


1人がゆったり浸かれるサイズの樽風呂がある





なかなか面白い構造の風呂で


斜めに傾けた鉄のジョウロのなかに水の魔石と呼ばれる石を入れ


魔力を流すか雷の魔石の付いた小さな杖でつつくと


起動し魔石から水が出てくる





鉄のジョウロの下に火の魔石を置き、起動させ火をつける


夏は1つ冬は3~4つでジョウロを暖める


水が加熱されお湯になり、斜めに傾いているジョウロをから


出てくるといった構造で、できている





魔石は大きさに比例するのか直径15ミリほどの大きさの石1つで


樽風呂が満たされる





他にも丸い木枠に糸が張られていて


インディアンのドリームキャッチャーに似た形状のもので


中に風の魔石が付けられていて


起動させると扇風機になるものもあった。





父に何とかして魔法を見せてもらいたく


「ひ」「ひー」と回らない口で一生懸命に言ったら


父は自慢げにまだまだ赤ん坊の僕に向かって





「魔法が使える人族は50人に1人だ


火水風雷の4つがあるから火の魔法が使えるのは200人に1人だ


みんなは火の魔法が使えても」


「ファイア」ロウソクの火ほどの火が灯る





「これじゃあ小さくてフッと吹き消されるだけど父さんはファイアフレイム」





手から火炎が出ているのを見て


パチパチと手を叩くと機嫌よさげににこにこして父は





「シリウスも父さんと母さんの子供だから


魔法が使えるようになるといいな」といいながら


頭をよしよししてくる。





自分でも魔法を使いたくて


「ふぁーあぁ」と渾身の力を込めて叫ぶ... 


何も起きない 何度やっても同じ 何も起きない





きーっとなって暴れる


そして、疲れて、やれやれこれだから赤ん坊はと、自虐的に思いながら眠る

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