第4話 絶体絶命

 カップルの二人はカフェの近くのマンションの男の家に避難した。女はニュースを見るためテレビを付けた。ニュースでは世界各地で異変が起きていることを報告していた。

「世界中で似たような事が起きてるみたい」

「やばいな。地球滅亡の危機か」

「見て!窓の外!」

「あれは何だ!」

窓の外に大きな竜巻が起きていた。その時、台所の方で皿が割れる音がした。

「窓が開いてるわ!早く閉めて!」

「わかった!」

強い風を受けながら男は窓を閉めた。

「きゃあ!」

「どうした!」

男が女の方に戻ると、リビングの窓にヒビが入っていた。

「何か当たったの…」

「何だろう?」

男が恐る恐る窓の外を見ると、死んだ鳥が横たわっていた。

「ここも危ない。遠くへ行こう」

「うん…」

それから、二人は竜巻から離れるため、出来るだけ遠くへ走った。道のほとんどは、ヒビ割れが起き、普通に歩くことさえ困難な状態だった。二人の足が限界に達したとき、車のクラクションが鳴った。二人が見ると、車の窓が開き、カフェで助けた男性客がいた。

「君たち、遠くに行くんだろ?乗れ」

「いいんですか?」

「いいから早く!」

二人を乗せた後、車は走り出した。

「助かりました…」

「それはこっちの台詞さ。この異変で死者が後を絶たないらしい。今、生きられているのは、君たちが助けてくれたからだ。君たちに恩を返さなきゃ居ても立っても居られなかったのさ」

「そんな大したことしてないですよ」

「いや、君は大した奴だよ」

車が森の中に入って来たとき、地震が起きた。

「きゃあ!」

「うわあ!」

車が道を外れ、林の中に突っ込んだ。

「これじゃあ、もう走れないな」

「そうですか…」

「すまないな。君たちだけで行ってくれ」

「え?あなたも一緒に行きませんか?」

「俺はここに残る。この車は俺と長年を過ごした相棒だ。カフェから逃げた時も相棒が心配で早く出たかったんだ。君だって大切なものを置いてくことはできないだろ?」

男は隣の女を見た。

「できません」

「そういうことだ。じゃあ、気をつけろよ」

二人はさらに森の奥深くへと進んだ。滝の付近に着き、二人は一休みするため座り込んだ。

「ふう…だいぶ歩いたね」

「うん。もう歩けないよ」

その時だった。女が座るところが、ヒビ割れ落ちた。咄嗟に男は女の腕を掴んだ。

「しっかり掴まって!」

「うん…!」

ヒビ割れは徐々に大きくなり、男のいる所に達した。

「うわああ!!」

そこに、ロープが飛んできて、落下する二人に絡みついた。


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