間違い探し_警備員の証言
私は警備会社から派遣された■■です。
警報装置が動作したので、現場の中学校に向かいました。この学校には常駐の警備員はいないので。
現場につくと一見変わった点はありませんでした。門も閉まっているし、電気もついていません。
稀に虫などがセンサーに接触し、警報が誤作動することがあります。今回もそのたぐいかなと最初は思いました。
校内に入ったのは深夜1時を回ったころでしょうか。
異様な雰囲気を感じました。何かの気配というか……とにかく気味が悪い、そいう感じで、でもとても静かなんです。
しかし、私も警備するのが仕事ですから、意を決して校内を歩きました。
すぐにその異常さに気づきました。
ありとあらゆる扉が開いていたのです。
普段そんなことはあり得ません。扉が閉まっていないと警報装置が作動するようになっているのですから。
普通は先生方が各扉を施錠してから帰宅していただくことになっているので、こんなに色々な扉があけ放されているわけがないのです。
私はまず、先生方がまだ校内に残っているのではと思いました。
これは時々あるのです。残業されていてそのまま居眠りしてしまったりされることが。私も数回遭遇したことがあります。
それにしたって不自然ではありましたが、私は職員室に向かいました。
でも職員室は無人でした。全ての机を確認しましたが、人がいた気配はありませんでした。
職員室だけではありません。どこにも誰もいない。
まるで、突然すべての扉が勝手に開いたとでもいうような感じでした。
真っ暗で空調もついていない。人がいるような状況ではない。音もしない。でも何かいるような感じがする。
不気味ですが、こんな不思議な状況を放置して帰るわけにも行きません。
私は一部屋ずつ調べて行きました。
そして、資料室の前にたどり着いた時です。
声がしました。
一言「足りない」と、つぶやくような声が聞こえました。
私は「誰かいるのか?」と声をかけながら資料室の入口から中をのぞきました。
………はあ、はあ、はあ、はあ………
そ、そこで、私は……く、首を、首を吊っている、影を、見ました…
………はあ、はあ、はあ、はあ………
……すみません、大丈夫です。ちょっと思い出してしまって……
……私は、多分叫んで、その後のことは覚えていません……
気が付いたら明るくなっていて、一番に登校された先生に肩を叩かれました。
私は昇降口に倒れていました。
どこまでが真実で、どこまでが夢なのかはわかりません。
ただ、朝の時点で全ての扉は空いたままでした。
誰が開けたのかは、わかりません。
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