神族との不倫

夕日ゆうや

飲んでも飲まれるな。

 飲み過ぎた俺は家族へのお土産に小籠包を持って、お店の外に出る。

 似たような人を見かけたので乗り合いタクシーに乗り込む。

「あんちゃん、いい顔しているね。どうだい? 私と一緒に飲まないかい?」

「ははは。嬢ちゃんは飲み過ぎだよ」

 俺はそう返し、酔いを冷ますために窓をあける。

 冷たく吹きすさぶ風がほてった身体には気持ちいい。


 気絶していたらしい。

「お客さん。ついたよ」

 そこは寺院だった。

 嬢ちゃんも一緒だ。

「ふふ。私の家でしっぽりと飲もうじゃないか」

「しっぽり、って……」

 酔いの覚めた俺は降りた。降りてしまった。

 嬢ちゃんにはそれだけの魅力があった。

 俺はつい、後を追ってしまう。

 寺院の中に入ってしまう。

 嬢ちゃんに尻尾が生えているように思えた。耳も。

 こんなはずじゃなかったのに。

 小籠包をおつまみに、もうひと飲みしてしまった。

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神族との不倫 夕日ゆうや @PT03wing

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