第2話 テロの意味と目的

「人を信じるというものは、人を疑うよりもずっと難しいものだな・・・・・・」


「はい・・・・・・」


 ツクヨミ社との交渉は決裂し、襲撃は失敗に終わった。ツクヨミ社の重要人物は全員ツクヨミタワーと共に姿を消し、ツクヨミ社と黒白に関係があることを突き止めることには最高したものの、肝心の行方はわからなくなった。

 だが、成果がゼロであったかと聞かれれば、そうではない。唯一の成果は、黒白及びツクヨミ社に人類と敵対する意志が無いことがわかった。実際に、ゼラストや一緒にいた6人のS級魔法師には目立った外傷は無く、生きたまま無力化されていた。ブラフの可能性も捨てきれないが、少なくとも敵では無いように思えた。

 では、先のテロ攻撃は、一体どこの誰が何のためにやったのだろうか。真相は、再び闇の中へと潜ってしまった。


「あくまでイセンドラスを守るための行為だ、という彼女の言葉を信じるなら、テロの犯人は別に存在するということになる。」


「そうなりますね・・・・・・」


 ツクヨミタワー襲撃から3日後、俺はゼラストさんに呼び出され、都内にあるジルトレアの日本支部へとやってきていた。衣夜との戦闘ののち、念のため行われた検査入院から退院したばかりのゼラストさんだが、俺が支部を訪れた時にはすでに第一線で様々な仕事をこなしており、人類のリーダーを担っていた。

 呼び出された理由は、もちろん一つしかない。


「彼らの方も、誰が犯人なのかまではわかっていないようだが、ある程度は予想ができているのだろう。だから、敵を炙り出すためにあえて悪役をかって出た、と考えることもできるんだがな・・・・・・」


「信じられない、ですか?」


「無論私だって信じたいさ。だが、今回の件には不可解な点が多過ぎる。私の知っている黒白なら、少なくともこんなことにはならなかったはずだ。紅焔も同様だ、私の知る彼女ならこのような手段を取るとは思えない。何か理由があるのか、それか心境の変化があったか、あるいは・・・・・・」


「何らかの目的を達成するために、この襲撃が必要だった、ですか?」


「あぁ・・・・・・」


 ゼラストは、この3日間ずっと今後のことを考えていた。

 考えなければならない案件は主に2つ、黒白とツクヨミ社のことと、テロ対策のことだ。

 テロ対策についての方は、少しずつ方針が固まりつつあった。世界各国の連携を前提に、戦力の乏しい国には上位の魔法師が派遣され、地球上のほぼ全ての部分をカバーすることが計画された。これにより、地球上のほぼ全ての都市に最低限都市を防衛できるだけの戦力が配備されることになった。

 だが、もう一つの方に関しては、何一つ大事な決定が出来ずにいた。最近では世間の注目の的にもなっているツクヨミ社問題、当然ゼラストも頭を悩ませていた。ツクヨミ社から声明が発表されたこともあり、世間では今ツクヨミ社及び黒白を疑う声と、ジルトレアを批判してツクヨミ社を擁護する声の両方が存在している。当然、議論も巻き起こっており、世間は明確な答えを欲していた。

 そんな中、ゼラストはとある一つの可能性に辿り着いていた。

 それは・・・・・・


「黒白自身が実行犯であるかどうかは別として、彼が何らかの目的のために先のテロ行為に関与した可能性は十分に考えられる。」


「どうしてですか?」


「何故なら、黒白が本気を出せば世界を支配することが可能だからだ。こんな回りくどいやり方をしなくても、彼の力を持ってすれば、いくらでもやり用はある。実際、星間戦争終結後にジルトレアの最高指導者として活躍することを期待されたのは私ではなく彼であった。だが、彼は身を退くことを選んだ。戦時中であったからこそ彼は序列一位として人類の先頭に立って戦ったが、彼は本来目立つのがあまり好きなタイプではないのだ。その上で、彼が人類のために警告を行ったと考えれば、話は通る。」


「つまり黒白が人類に対して、今後起こりうるであろう厄災を警告したということですか?」


「そういうことだ。まぁその場合、ならばどうして我々に事の詳細を話してくれないのか、という疑問は残るがな・・・・・・」


 黒白が突出した力を持っていることは周知の事実だ。彼は、戦争を終わらせた人物であり、言わずと知れた人類最強の魔法師だ。

 正直なところ、俺自身もルキフェルの力を使ったとしても勝てる確信は無い。ルキフェルが強いことは知っているが、黒白が強いことも嫌と言うほど知っている。


「今わかっているところはこんなところだ。また何かわかったら、情報を共有しよう。」


「わかりました。」


「君には期待しているよ。いざという時になったら、君が切り札となるかもしれない。」



 *



「わかんないな・・・・・・」


【考えたって仕方ないわ。貴方に考えれるだけの脳は無いでしょ?】


「おいおい。」


【私、間違っていることは言っていないと思うわよ。】


「まぁ実際、俺が考えてもわからないか・・・・・・」


【そうよ。貴方は貴方のできることだけを精一杯やりなさい。】


「黒白、いや結人さんと戦ったら、俺たちは勝てると思うか?」


【勝つわ。】



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 どうでもいい話

 ガンダムseedの映画を観て参りました〜

 めっちゃ面白かった〜(小並感)

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