転換編

第1話 切られた火蓋

『2066年7月5日月曜日午後6時15分』


『突如として始まったUCの再来、世界各地では現在も魔法師達による防衛戦が行われております。』


「これはいったいどういう事だ!」

「話が違うじゃないかっ!」

「どう責任を取るつもりだ!」


 健斗が魔法陣を破壊してから5分後、とある星のとある場所にて、白髪の女が、仮面を付けた複数人の男たちから糾弾されていた。何か邪魔が入ったのか、それともこの女がしくじったのかは不明であったが、それでも作戦が失敗した。


「計画じゃ、超級UCを1000体、災害級UCを100体投下する予定だったのに、一体も見当たらないではないかっ!これらを揃えるために、どれだけの時間と労力がかかったと思っている!」

「この損失は高く付くぞ!」

「どういうことか説明して貰おうか、白銀!」


「本条健斗に邪魔されたのよ。」


「本条健斗、だと?」


「えぇ、貴方の知っている本条健斗であっているわよ。日本の新たな新星、本条健斗。失敗の原因は、彼のことを過小評価し過ぎたことね。」


「若造がっ!」


 女は、失敗の原因は健斗であると説明した。日本魔法協会の迅速な行動により、宇宙空間に仕掛けた魔法陣は想像よりもずっと早く破壊されてしまった。そのため、十分な魔力が注ぎ込まれる前に魔法が発動してしまった。

 十分な魔力を得られなかった魔法陣は、世界各地に穴を開けることには成功したものの、十分な大きさの穴を開けることが出来なかったた。そのため、肝心の超級UCと災害級UCを投下できていなかった。


「ならば、超級UCと災害級UCは諦めるしかないのか・・・・・・」


「小さいだけで、穴自体は空いているから、時間が経てば投下されるわ。」


「そうなのか?」


「え、えぇ。まぁもちろん、何らかの方法で穴が塞がれてしまったら、降下は止まるけど・・・・・・」


 十分な大きさの穴を開けることが出来なかったがために、当初の亜空間に潜ませておいたUCを一斉に降らせる作戦は失敗してしまったが、代わりに細々とではあるが長時間に渡って無数のUCを投下し続けることには成功した。


「魔法師の平均的な戦闘継続時間はざっと1時間なのに対して、今のペースでUCを落下させ続けることができれば4時間ぐらいは落下させ続けることができると思うわ。だから、まだ失敗と決まったわけじゃないわね。」


「なるほど、確かに勝機はありそうだな。」

「まだ我々には、超級UCと災害級UCも残っておりますしな。」

「どうなるかは、サイコロ次第ということか。」


「サイコロというより、本条健斗とお兄ちゃん次第だね。これは私の勘だけど、お兄ちゃんはもちろんのこと、本条健斗もやろうと思えば直せると思うわ。」


 白銀と呼ばれた白髪の女は、人類最強の称号を持つ兄と、最近名を上げている日本の新たな新星を思い出しながらそういった。一瞬、他にも出来そうな人物を想像したが、あえて言うのを控えた。


「だから、2人のうちのどちらかが動いたら、あっという間に計画は中止に追い込まれるわよ。」


「それは由々しき事態だな。現状の我々には、日本の新星ならばともかく、黒白に対抗する手段は何一つ存在しない。」

「そもそも、黒白に勝てる魔法師など居ない。奴が動けば、我々に勝ち目などないな・・・・・・」

「人類で黒白に対抗できる存在など、白銀ぐらいしか・・・・・・」


「言っておくけど、私は手伝わないわよ。前にも説明したけど、私の魔力パターンを残せば、必ずお兄ちゃんに勘付かれる。そーなったら、私は降りるから。」


「わ、わかっているとも。なあ?」

「あ、あぁ、悪いようにはしない。」

「そ、そうだとも。」


 女が状況を整理したことによって、男たちは早速議論を始めた。目的を達成するためならば、使える手段は全て使う気でいた。その上で、目的は違えど今は協力関係である白銀を手放すという手段は考えられなかった。そのため男たちは、自分達で作戦を立てる必要があった、地球を再び戦争の時代へと突入させるために。



 *



「やっぱり空気があるっていいな〜」


【何呑気なこと言ってるの、健斗。貴方の星がけっこうピンチなようだけど。】


「見ればわかるよ。でも今の俺は、日本魔法協会所属の指示待ち魔法師だ。勝手な行動は慎むべきなんだろうな。」


【単に何をすれば良いかわからないだけでしょ?】


「そうとも言う。」


 魔法陣の破壊に成功し、地球へと戻って来た俺は、地上の状況を見て思わず言葉を失った。目視できるところだけでも、何ヶ所か煙が上がっているところが存在しており、ルキフェルの予想通りの展開となっていた。幸い、まともに戦える魔法師が何人かずつ、時空の避け目の直下で待機しているので大きな被害は出ていないようだが、小さな被害であれば確認できるだけでもかなりの数存在した。

 まさに、66年前の星間戦争のような光景であった。


「だが、今の俺にはコレがあるんだ。だから、少し待っていれば・・・・・・」


『聞こえるか、健斗くん。』


「はい、聞こえます。』


 出撃前に耳に装着した通信機器から、有栖川の声が聞こえた。どうやら、直々に命令を下されるようだ。


『現状は見ての通りだ。空中に空いた穴から無数のUCが降ってきている。今の所は対処が間に合っているから目立った被害は出ていないが、コレがいつまで続くかはわからん。』


「なるほど。それで、私は何をすれば?」


『どんな方法でもいい、穴を塞いで敵の攻撃を止めてくれ。やれるか?』


「やってやります。」


『頼んだぞ』


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 どうでも良い話

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