第15話 私と謎のセカイ

目が覚めるとベットの上にいた。



ここは酒場バルの二階にある寝室だ。



辺りを見渡しても誰もいない。



(全身が痛い…)



そういえば私何でこんなところにいるんだろう?


確か”現代ナウ”にいたはずなのに。



窓の外を見ると夕陽が差し込んでおり時折ヒグラシの鳴き声が聞こえる。


吹き込んでくる風は生暖かくも夏が終わるかのような少し冷たい風だ。



「…私こんな所で何してるんだろう。」



ベットから起き上がり部屋を出て一階へと降りてみた。


普段ならトキハさんやお店の常連さんがいるのに今日は誰もいなかった。



テーブルやカウンターの上に椅子が置いてあるのでそもそもまだ開店していないようだ。


時計を見ると針は5時30分を指している。



(おかしい。もう開店時間を過ぎているのにまだお店が開いていない。トキハさんに何かあったのかな?)



不審に思いながらも私は外の様子を見るために店を出て行った。



外の景色は夕日によって赤くなってる。


この時間なら誰かの声がしても良いのに何の音もしない。

生活音の一つも聞こえない。



そのせいでいつもの街並みがなんだか凄い不気味に思える。



(いったい何が起きてるの?)



ひとまず町の状態を見るために辺りを探索することにしました。










鍛冶屋や薬屋、病院などいろいろな場所を見て回りましたが人っ子一人いない。


それどころか町のどこを見ても人が生活していた感じがしない。



家の中などには使いかけの包帯や食べかけのそうめんやすいかなどが置いてあって一見生活感が出てるように見えますがどれも誰かが見様見真似で生活感を創ったような違和感を感じます。


(皆どこへいったのだろう…)



未だに自分の置かれている状態が分からないのですがひとまずまだ行ってない所があるのでそこに行ってみます。















しばらく歩いて目的地に到着した時、私は目の前の光景にただ立ち尽くしてしまいました。


そこには村長の家があるなのに




目の前には何もありませんでした。




一面が雑草で覆われていて屋敷があった痕跡なんてありませんでした。



「何がどうなってるの…。」



確かに道を間違えずにここまで来た。


おかしいところは町の人がいなかったぐらい。


そうだ。

そういえば何で町に人がいないの?


いつもなら誰かがどこかにいるはずなのになんで今日は誰もいないの?


そもそも私は何で”ライク”にいるの?

私は”現代ナウ”にいたはず…



そうだ。



現代ナウ”が襲撃を受けたんだ。

それで茜さん…。お姉ちゃんが私に魔法でどこかに飛ばしたんだ。


結局”現代ナウ”はどうなったの?


お姉ちゃんは…

トカゲは…


モーティン君は…



そうだった。

皆死んじゃったんだ。




なんで…


どうして…


毎回毎回私は守られてばかりなの…


コールを使えるようになって皆を助けれる。

そう思ってたのに何で…


なんでまた守られる立場にいるの?



分からない。

分かりたくない。



夕日はもうとっくに沈んで、魔法の効果によって自動で灯される街灯によって夜道が照らされているだけになっていました。



(もう辺りが暗くなってる。帰らなきゃ…)



そう思って来た道を戻ろうとしたその時でした。


「まったくこんな単純なことにも引っ掛かってしまうのですね。」


後ろから突然声がした。



振り返るとそこには秋音がいました。


「秋音!!」


私は秋音を見つけた途端ようやく自分以外の誰かを見つけられて嬉しくて飛びついてしまいました。


「ちょっと離れて近い。」


「ああ。ごめんごめん。」


私は秋音にそう言われ離れました。


「さて。話しを戻しますがここは夢の中の世界です。」


「夢の中?」


「そうです。夢の中です。今は私の魔法によって寝てもらっている状態です。その証拠にほら。」


秋音はそう言うと空を指さしました。


私は秋音が指した指の方向を見ると空に酒場バルで寝ている私の姿とその隣で私の看病をしているトキハさんがいました。


「トキハさん!」


「ほら。今の玲はぐっすり寝ています。これでここが夢だって分かりましたね?」


「うん。けどなんでこんなことしたの?」


「玲。正直に言うと貴女は戦いに慣れていません。だから力があったとしてもその使い方を知らない。それで暫くの間玲には夢の世界で修行をしてもらいます。」


「つまり秋音が私に修行をしてくれるってこと?」


「そういうことです。」


「分かった。じゃあよろしくお願いします。」


「玲が素直な人で良かった。そでは早速始めましょうか。」





それから私と秋音の長くも短い修行が始まりました。


夢の世界では時間の概念が無いので本当に思う存分修行が出来る環境が整っていました。


戦闘における基本的な動きや秋音との対人戦など本当に色々な事が出来ました。


さらに秋音は素手、長・短剣、魔法、銃撃全てにおいて名人レベルの腕前だったので相手にとって不足なしの状態です。


秋音は腕前だけではなく立ち回りや戦い方も色々あって凄かったです。


私が短剣2本、秋音は長剣1本での戦闘で秋音は長剣特有のリーチの長さを生かしてある程度距離を空けて戦っていたのですが、突然距離を詰めて長剣で短剣を1本弾き飛ばしてからすぐに長剣を捨てもう1本の短剣を持っている手を掴みそのまま背負い投げをして1本取ってきた時もあれば、


私がライフル、秋音が魔法杖マジックステッキで建物が入り組んでいる地形での戦闘では多方向に火炎弾を放ちわざと位置を特定させて私が安全に打てる位置まで詰めている所を見つけて火炎弾を放ち1本取ってきたりなど


本当に色々な戦い方で攻めてきました。



秋音の話によると私が本気の秋音と戦って勝ったらこの夢の世界から脱出できるとのことなので私の今後の目標は『本気の秋音から1本取る』という事にして集中してやっていきます。


トキハさんやレオさんをこれ以上心配させないためにも頑張って早く目標を達成してここを抜け出せるように頑張ります!!



だから皆…




もう少しだけ待っててね。





必ず成長してここを脱出するから。

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