第11話 私と姉
父親は私がまだ小学校に通ってすらいない小さな頃に家を出て行った。
母はそのことに心を病んでしまい酒に溺れた。
そんな中私はお姉ちゃんのおかげで生きていられました。
私の両親は再婚した人達で父方が私。母方かお姉ちゃんを連れていました。
お姉ちゃんが私の食べるご飯を作ってくれて
お姉ちゃんが私と一緒にお風呂に入ってくれて
お姉ちゃんが私に全てをくれました。
お姉ちゃんの口癖はいつもこうでした。
『死ななければきっと明日良いことがある。だから今日を生きるよう。』
それから私が高校への入学が決まるまで姉さんは私の身の回りのことを全部やってくれました。
お金が足りなければバイトをしてお金を稼ぎ
授業参観には必ず来てくれていました。
私の高校が決まった時も一番喜んでくれました。
だけど事件は起きてしまいました。
その日はお姉ちゃんの誕生日でした。
その日は私が自殺する3週間前でした。
お姉ちゃんは死にました。
バイト先のトイレで心臓部にナイフが刺さって死んでいました。
その後
警察の人が来て事情徴収をした結果
自殺として処理されました。
私は納得出来ませんでした。
お姉ちゃんが自殺なんてするはずがない。
普通バイト先で自殺なんてするのでしょうか?
私だったらしません。
だから私は事件が処理された後も自力で真相を見つけ出そうとしました。
そして…
その時は突然訪れました。
お姉ちゃんの死が自殺だと処理されて2日が過ぎた時
私にいじめをしてくる子から体育館の裏に呼び出されました。
その場所は私がいつもいじめを受ける場所です。
私はいつも通り暴力を振るわれおしまいだなと思いながら体育館裏に行くとそこにはいつもいじめてくる不良3人ともう一人いました。
その人は髪が肩まである20代くらいの女性でした。
そしてその人は私の事に気が付くと不良たちよりも一歩前に出てきました。
そしてとある物を見せてきました。
それはペンダントでした。
私は最初そのペンダントが誰のものか分かりませんでした。
女性は私の反応を見てからペンダントの蓋を開けました。
私はペンダントの中身を見てようやくそれが誰の物なのか分かりました。
そのペンダントの中には一枚の写真が入っていました。
写真は昔私とお姉ちゃんが公園で撮った写真でした。
そしてその写真を持っているのは私とお姉ちゃんだけです。
「なんでそのペンダントを持っているのですか?」
私がそう質問すると女性はニヤッと嬉しそうに笑いました。
そしてこう言いました。
「そんなの簡単な事じゃないの~。私があなたのお姉ちゃんの事殺したからよぉ~。あの女の最後の顔。あまらなかったわぁ~」
もういい。
それ以上話すな。
「それでねぇ。あの子ったら最後の最後に何って言ったと思うぅ?」
黙れ。
「『妹に手を出さないで』だって~。可愛いわよねぇ。最後の最後まで妹の事を思っていたのよぉ~。まぁそんなあの子が大切にしてた子だもんたっぷり可愛がってあげるわよぉ~。」
…殺す
私は女に飛び掛かろうとした。
だけどそれより先に後ろにいた不良の一人が私に殴ってきた。
「それじゃ後の事は頼んだよ。」
女がそういうと不良たちはこう答えた。
「ヘイ姉貴!」
ああなんだ。
そこが繋がってたんだ。
不良たちは私を押し倒して蹴ったり殴ったりしてきた。
私はなされるがままになっていた。
もうなんでもいいや。
なんか全部がどうでも良くなってきた。
お姉ちゃん。
私もすぐにそっちに行くね。
こうして私は自殺しました。
そして現在。
「ねぇ玲?このまま私と一緒にもう一度死なない?」
「は?何言ってんの姉ちゃん?」
「私ね気が付いちゃったのよ。こんな世界に良いことなんて無いってことに。だから一緒に死のうよ。」
お姉ちゃんの話し姿に昔の面影はもう残っていなかった。
そこにあるのは私の事を殺そうとしている姉の姿だけだった。
「こんなの噓でしょ。ねぇ私の事をからかってるだけよね?そうだよね?お姉ちゃん?」
私がそう問いかけるとお姉ちゃんは私を急かすようにこう言った。
「いいえ嘘じゃないワ。ねえ玲答えテ。私と心中しマショ?」
!?
急にカタコトになった。
なんで?
今のお姉ちゃんは泣いていないから声が自然と裏返ることもないはず。
裏返ったとしても語尾だけカタコトにならないはず。
そうなると考えられるのは一つだけ。
「あんた誰?」
この人はお姉ちゃんじゃない。
全くの別人だ。
「ねえ玲答えテ。私と心中しマショ?」
「先に私の質問に答えて!あなたは誰なの?」
「私と心中しマショ?私と心中しマショ?私と心中しマショ?私と心中しマショ?私と心中しマショ?私と心中しマショ?心中心中心中心中心中心中心中。」
その人は壊れたロボットのように同じことを喋るロボットとなってしまった。。
そして次の瞬間…
その人は黒いスライムのようになった。
その姿にはもうお姉ちゃんの姿は残っていなかった。
そしてそのまま私に飛び掛かってきた。
私は間一髪の所で避けそのまま商店街を出て行った。
よし。
スライムは私を追いかけてきている。
目指すはただ1つ。
あの場所
この国で一番強いと思う人の所です。
私を追いかけているスライムは後ろから触手を鞭のように扱い家を破壊して私を捕えようとしてきました。
まずいこのままじゃ追いつかれる。
どうしよう。
スライムは徐々に距離を詰めてくる。
そしてゆっくりと触手が私の方へと近づいて来る。
もう終わりだ。
そう思ったその時でした。
ドンッ。
その音と共に私の後ろで大量の土埃が立った。
私は立ち止まり振り返るとそこには黒沢がいました。
黒沢は私とスライムの間に立っていてスライムの方を向いて棒立ちしていました。
「あ~あ。町をこんなにもぶっ壊しやがってどうしてくれるんだ!」
スライムは黒沢の事なんて気にせず私の所まで飛んできました。
このままじゃ捕まる!
「どこを見ている。」
バンッ。
黒沢も飛び上がりスライムを空中で蹴り飛ばしてスライムを元の位置まで戻しました。
強い…
スライムは地面でもだえ苦しんでいるように見えます。
黒沢はふわりと地面に降りてきました。
「おいおいこれでおしまいか?」
黒沢はスライムを挑発してる。
それだけの余裕があるんだ。
スライムは挑発に乗るかのように人型なった。
その姿は多種族とは似ても似つかない姿で私はそれが戦闘態勢なのだとすぐに分かった。
「ようやく戦闘態勢になったのかよ。遅い。」
黒沢は呆れたようにそう言った。
そして詠唱を始めた。
「主よ。祖国を守るための翼を我に授けよ。そして敵を殲滅せよ。"#
黒沢が詠唱を終えた瞬間だった。
周りの瓦礫やゴミが一斉に黒沢の所に集まり。
そして
黒沢の翼となった。
その翼は醜くも明日を生きようとする力強さをそのまま表したかのような翼だった。
スライムはそんな事関係ないと言うかのように黒沢を鞭で攻撃してきた。
だけど黒沢の一言によって全て終わった。
「王の前だぞ。"#跪け"。」
その瞬間スライム
は何かの力によって地面に押し付けられた。
そしてスライムは動かなくなった。
その後黒沢がスライムを拘束し王室まで運び込まれました。
私は黒沢に王室の前で待つように言われ王室の前に置いてあったベンチに座って待っています。
そして10分くらい待っていると王室から黒沢が出てきました。
「あのスライムから話は全部聞いた。災難だったな。」
「結局あのスライムは何だったのですか?」
「あのスライム…いや。あのドッペルゲンガーは契約済みなモンスターだった。」
ドッペルゲンガー
悪魔系擬態族に分類されているモンスターです。
本来のドッペルゲンガーは動物の死体を食べ擬態し同族を騙し捕食する特性ともう一つ特性があります。
ドッペルゲンガーは勝負に負けて相手の力を認めた時に契約を結ぶことができるようになり、契約するとその契約者の言うことを絶対に従わないといけない代わりに契約者の姿になれるという特性を持っています。
ドッペルゲンガーは悪魔系に属しているので基本"
それなのに"
「お姉ちゃんの命令でドッペルゲンガーは"
十中八九そうなのだうろと思います。
だけど本当にそうなのか確認したい。
「黒宮。姉さんの名前を教えてもらっても良いか?」
「夏海。
「分かった。あいつに聞いてみよう。」
黒沢はそう言うと再び王室へと戻っていきました。
そして3分ほど経った時に黒沢は王室から出てきました。
そして一言
「確定だ。」
そう言って黒沢は王室の中を見せるように扉を開けました。
王室は何かの血で真っ赤に染まっていました。
王室の中央には何者かが繋がれていた鎖のようなものが残っているだけでした。
そして私はとある一つの事に気が付いきました。
ドッペルゲンガーの姿がありません。
「あの。ドッペルゲンガーはどこに行ったのですか?」
私がそう問いかけると黒沢は頭を掻きながら
「自爆したよ。」
っと言いました。
ドッペルゲンガーに自爆能力は無いので外部から魔法によって特定の言葉を聞くと自爆するようになっていたのだと思います。
そしてその言葉は
「お姉ちゃんの名前を言ったら自爆したのですね?」
「ああ。」
「つまり、契約者がドッペルゲンガーから情報が漏れるのを恐れて魔法を付与した。ってことですね?」
「ああ。」
「そうなるともうドッペルゲンガーとの契約者はお姉ちゃんで確定したようなものですね。」
「そうなるな。」
あのお姉ちゃんが何でこんなことしたんだろう。
「今日はもう遅い。早く帰りなさい。帰る家がないなら宿屋に泊まると良い。」
「…はい。」
こうして私は”
事務室へ戻る帰り道に私はあの場所について思い返してみました。
今考えても”箱舟”では謎が深まるばかりでした。
なぜお姉ちゃんはこの世界にいるのか。
なぜドッペルゲンガーは自殺を誘っていたのか。
黒沢の使った魔法”#
ドッペルゲンガーが今回の事件の犯人なのか。
本当に分からない事だらけでした。
だけど一つだけ分かったことがあります。
それは…
今回の事件にお姉ちゃんが関わってるということです。
ドッペルゲンガーにあんな指示をお姉ちゃんがするようには思えませんがドッペルゲンガーがお姉ちゃんの姿をしていました。
つまり、あとドッペルゲンガーの契約者はお姉ちゃんということになります。
そしてドッペルゲンガーが自殺を促していれば集団自殺との辻褄が合います。
だけど何か引っかかります。
何かを見落としているようなそんな気分です。
まだ何も終わっていないかのようなそんな気がします。
そんな事を考えていると事務室に到着しました。
中に入るとそこには茜さんが一人で書類整理に追われていました。
時計を見ると時刻は午後8時でした。
「茜さんお疲れ様です。」
「玲ちゃんもお疲れ様~。あ、こっちにいる間の荷物が届いてたから後で片付けといてね~。」
「え。私桜木村に戻れないのですか?」
「そうよ。一応出張だもの。」
そうなんだ…
「私の荷物ってどこにありますか?」
「転送装置の部屋に置いてあるわよ。」
「分かりました。で、私はどこの部屋を使わせてもらえるのですか?」
そういうと茜さんは嬉しそうな顔になった。
「私と相部屋だから今から私と一緒に行かない?」
「はい!お願いします!」
「それじゃあ行きましょうかね。」
そういうと茜さんはホワイトボードの前に立ちました。そしてホワイトボードを退かせるとそこには扉がありました。
中に入るとそこには二段ベットが置いてあるだけの畳6畳の部屋でした。
「二段ベットは上の段を使ってね。それ以外はお好きにどうぞ。」
「良いんですか!?ありがとうございます!」
これなら普通に生活は出来そうです。
その後
私は転送された荷物を整理しました。
荷物の中身は私の服とカバンが入っていました。
多分トキハさんが用意してくれたんだと思います。
カバンの中身はコルが入っていました。
私は荷物の整理が終わった後に茜さんと一緒にご飯を食べてベットで寝ました。
そして私は夢の中で
一人の少女と出会いました。
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