第7話 私と

あれから私達はレオさんと武器の世界を繋げる方法を探し始めました。


ノームさんは武器の構造から繋げる方法を探し。


トキハさんはバルに来た人に聞き込みして探しています。



私は村にある本屋と図書館で関係のありそうな本から探しています!



方法を探し始めてから私達は夜にバルに集まってその日の成果を報告するのですが…


今のところ手掛かりは無しです。


今日もバルに集まって報告します!



あれ?


図書館からバルに帰るといつもトキハさんかレオさんがいるのに今日はどっちもいない。


その代わり薬屋メルベイユの店主のヤート・リカルストがカウンター席に座っている。


ヤートは

身長170㎝ぐらいで公服のような服を着ている男性で年齢は16歳です。

いつもベルメイユで薬を作って村の皆に売っています。

傷薬や風邪薬、漢方薬から毒薬などなんでも作っています。

正直ちょっと苦手な雰囲気な人。


ヤートは私に気づくとカウンター席から立ちあがり私の両手を握ってきた。


「玲ちゃーん‼ 待ってたよー!」


ヤートは握った両手をブンブン振ってきた。

大きく振りすぎてちょっと痛い。


「ちょっとヤート振りすぎ痛い。」


そう言うとヤートはパッと手を放した。


「…で私を待っていたってどういうこと?」


ヤートは得意げに言った。


「今玲ちゃん達はレオをのいる世界に連れて行こうとしているよね。」


コル…

変形型オーブ002番はレオさんの専用武器だった武器だ。


レオさんは今魔法拒絶病に罹ってしまい魔法に触れれない状態になってしまい。

魔力の塊であるオーブを使うことなんて出来なくなってしまっている。


「それで僕その話をレオさんから聞いて僕も力になれないかなーって思って店にある本を読み漁っていたら見つけたんだよ!症状を緩和させる薬を!」


「本当に!?どうやって作れるの?」


「必要なものが多いから手伝ってほしい。トキ婆もレオもノームさんにも手伝ってもらってる。玲ちゃんはここに書いてある物を集めてほしい。」


そう言われてヤートさんから紙を渡された。


必要な物は3つで

どれも薬草だ。


1つ目はいつも採っている薬草’青草あおくさ’を3本

2つ目は青草の近くに生えている毒草’赤草あかくさ’を1本

3つ目は青草の完全上位互換で採れる数も1年に5本採れれば良しと言われるぐらいに採取が難しい’青空草あおぞらそう’を1本だ。


上二つは簡単に採れるけど青空草は見つけるのが難しいし採取の仕方も特殊だ。

そう悩んでいるとヤートが不安そうな顔をしながら


「大丈夫?全部集めれそう?」

っと言ってきた。


これを全部集めればレオさんがあの世界に行けるのなら


答えは一つだけだ。


「大丈夫です!頑張って集めてきます!」


ヤートはこっくりと頷いた。

まるでよろしく頼むとでも言いたそうだ。





~~次の日~~



私はいつも通り薬草採取に来ました。


だけど…

今日はいつもとは違う。


馬車を降りて早々に私は青草を3本、赤草を1本採ってからいつもよりもさらに奥の場所に進んだ。


目的地は…


ウィースト平原の奥にある洞窟

に行きます。


そこはウィースト平原よりもモンスターが多く発見されているので普通は近づきません。



青空草はパペット洞窟にしか生えません。


だから、今日は行くしかない。

レオさんを助けるために。




洞窟の前まで来ました。

中は薄暗く入らないと分からないくらい暗いです。


洞窟から冷たい風が吹く。


寒い…

怖い…


だけど


行かないと。


そう思い一歩洞窟の中に入ろうとした。


その時でした。


「お待ち!!」


聞きなれた声で呼び止められびっくりした。

振り返るとそこにはトキハさんとレオさんがいた。


「二人ともどうしてここに!?」


私が聞くと二人ともが一枚の紙を見せてきました。

ヤートが渡した紙でした。


二人の紙の一番下にこう書いてありました。


『玲ちゃんが近々パペット洞窟に行くと思うから護衛よろしく!』


あの薬剤師!!

レオさん達も一緒だと分かっているなら言ってくれれば良かったのに!


だけど、一人で心細かったからちょこっと安心した。

一人じゃないんだ。


そんなことを思っていると二人は私と洞窟の間に立った。


「いい?この洞窟は危ないのよ。だから一人で行こうとしないで。あなたはまだ自分の武器を持っていないのだからモンスターと遭遇したら殺されておしまいなんだから入るときは私達を誘ってね。」


トキハさんが説教をしている中レオさんが話す。


「そんなことより早く行きましょう。」


「…。そうね。行きましょうか。ほら玲行くよ?」


トキハさんはまだ喋り切れていないみたいで不満そうな顔をしながらも洞窟の中に入って行った。


私も後に続いて中に入っていった。





洞窟の中は意外にも明るかった。

周りには光っている苔や鉱石が所々にあってそれらが洞窟全体を明るく照らしているみたいです。


少し歩いていくと日が入ってくる開けた場所が見えてきて


私はその場所の景色に驚きを隠しきれませんでした。


「ここって…」


その場所は周りが壁で囲まれていて中央には泉があり、その奥の壁には水が滴っていてその水が溜まって泉が出来たように見えます。また、足元には草が生い茂っています。


「私とレオさんが初めて会った場所だ…」


レオさんが泉の近くまで行った。


「戦争で無くなってしまったが昔は泉の中心に祠があったんだ。」


「祠?」


「そう祠だ。そこには一つのネームプレートとオーブが入っていた。それがコルだ。」


私は驚きで言葉が出なかった。

隣にいるトキハさんも驚いている。


どうやらトキハさんも知らなかったようです。


「ちょっと待って。コルはノームに作らせたんじゃないの?」


トキハさんが聞くとレオさんは泉を見ながら答えた。


「コルは俺が見つけた武器だ。だから誰にも使い方が分からなくて俺の専用武器になったのだ。さて、そんなことより早く薬草を採って帰ろう。」


そうだ。

今は1分でも早く帰らないと。



青空草はこの洞窟だけで採れる薬草で単体で使っても効果が無いが他の薬草と一緒に使うと効果が変わってきます。


毒草と一緒に使えばどんなに酷い出血だろうと止血できるになります。

逆に薬草と一緒に使うとどんな薬を使っても解毒出来ないにまります。


このことから青空草はとも呼ばれている草です。


そんな薬草なのですか何故かこの洞窟の泉の近くでしか生えてこないのです。

ヤートいわく土地と水が魔力を適量持っていないと腐ったり枯れてしまうらしいです。



「玲ー!見つけたわよ!青空草!!」


どうやらトキハさんが見つけてくれたみたいなので行ってみます。


するとそこには澄んだ青色に雲のような白色の模様がある花がありました。



青空草です。



青空草の採れる数が少ないのにはもう一つ理由があります。


それは天使系の人が触れるとのです。

桜木村のほとんどの人が鬼族なので青空草を採ろうとすると枯れてしまう。

だから青空草はあまり採られないのです。


だから人間の私がこの薬草を採らないといけないからヤートは私に採取を頼んだのだと思います。


青空草は注意しないといけない事は特に無いので難なく採取できました!


採取し終えてもレオさんは泉を見続けてました。


私はレオさんの隣に立った。


「黒宮は覚えているか?俺とお前が初めて会った日の事。」


レオさんと初めて会った日…


忘れる訳がない。

私が初めてこの世界に来て何も分からない所をレオさんが来て助けてくれた。

そのおかげでサンタになれたし、自分の心に正直になれた。


だから忘れない。


レオさんは話を続けた。


「俺は覚えてる。あの日はコルと初めて会った日だった。」


それからレオさんは昔の事を話した。


「玲がこの世界に来た日は俺が祠でコルを見つけた日、魔法拒絶病に罹った日でもあった。俺はコルを使えなくなった年から毎年この日になると泉に来て感情で出来た玉’感情玉かんじょうだま’を食べに来ている。」


鬼族にとって’感情玉’は食事の全てです。

水やご飯などを全てこの玉で済ませれる大切な物です。

感情玉はその人が一番心に残っている所にしか出てきません。しかも、食べれる感情玉は自分の物だけ。


つまりここはレオさんの感情玉が出てくるくらい心に残っている場所ということになります。


「コルと一緒に置いてあったプレートには変形型オーブ002番ともう一つ書いてあったことがある。」



『このオーブは所有者の心を表す。だからあーしはこいつコルにもう2つ名前を付ける。”天使の声ベル”と”発狂者ネス”そう呼ぶことにするよ。』



使う人によって名前が変わる武器…


「私とレオさんが見た武器の姿は同じだったのですよね?」


「そうだが?」


「だったら多分コルは今もレオさんが所有者だと思ってますよ。だってコルは所有者の心を表すのだからコルが誰を所有者だと思っているのか分かるって事にもなりますよ!」


「つまり今もコルは俺を所有者だと思っているんだな。ならなおさら早く会わないとな。」


そう話していると後ろからトキハさんが声をかけてきた。


どうやら戻る準備が出来たようだ。



その後私たちはベルメイユへ戻ってヤートに材料を渡した。


するとヤートは奥の部屋に入っていきすぐに製作に取り掛かった。



~~10分後~~


「出来た!!」


そう言いながらヤートが奥の部屋から透明な袋に入った黒い粉を持って出てきた。


「あとはレオがこれを飲んで向こう世界に行けば良いのだけど。今までのようには魔法が使えないから別の方法を使うよ!」


レオさんが聞く。


「その方法とは?」


ヤートは少し暗い顔をしながら言う。


「その武器と一番の思い出の場所に一番思い出のある服で行き。心を。ただそれだけさ。レオならもう分かるでしょ?君が魔法の使用を最小限にして向こうの世界に行く方法を。」


ヤートがそう言うとレオさんは

「分かった。」

とだけ言って店を出て行った。


後を追いかけようとするとトキハさんが私の前に立って止めてきた。


「いいかい?私たちに出来るのはここまで。後はレオが自分でやらないと意味がない。今はただ見守ってあげましょう。」


「そうだよ!それに二人にはまだやる事が残ってるからね。さぁ!ここからが忙しいよ!」



私たちのやる事…


何か分からなけど何か大切な事ならばやらないといけない。


だからレオさん。


どうかあの武器コルともう一度会えますように。



私はただそう願った。




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