第4話幼馴染

  「ネロ、遊ぼ!」

  「わかった。」


 今、目の前で楽しそうに手を引っ張りながら駆けているのは幼馴染のレイナ。綺麗な金色の髪に、海を彷彿とさせる深い碧眼。そしてちょこんと尖った特徴的な耳。神話でいうエルフの少女であるレイナは父レオの親友ヴァンダル辺境伯の三女であり、辺境伯家の騎士団の指南役である父の仕事についていった時に会ってから、頻繁に遊んでいる。


 「レオ。君の息子がいる限り娘の結婚相手に困ることはまずないね。」

 「まあ、本人達次第だが・・・多分レイナちゃんがネロを離さないんじゃないか?尻に敷かれる未来が目に浮かぶな・・・」

 「・・・そうだね、女性は強い・・・」


 二人の父親は娘息子の姿を見て、彼らは愛する妻を思い浮かべ、ブルリと身震いをした。


 ♦ ♦ ♦


 「今日は魔法で遊ぶわ!」

 「え、レイナも魔法の練習を始めたのか?」

 「うん!ネロよりも魔力が多いらしいよ。先祖返り?みたい。」

 「ああ、俺もそんな事言われてたな。」


 両親が言うに、俺は鬼人の血が濃いらしく、そのために普通の鬼人や竜人よりも数倍魔力が多いのだとか。魔力が多くても、通常よりも多く魔法を使えるだけであって、技術がないと余分な魔力を消費したり、強力な魔法が使えない。


 そのため日々魔法や剣での練習に励んでいる。

 

 「痛!!」

 「怪我したところを見せて!」

 

 

 そう言うとレイナは手のひらを擦り傷が出来て血が滲んでいる膝に当てて言葉を紡ぐ。

 

 『大いなる神よ、癒しの光を今ここに【治癒ヒール】!!』


 患部に暖かい光が集まり、次第に光が無くなった頃、血で滲んでいた膝の傷が綺麗さっぱり消えていた。


 「すげぇ~!俺はレイナみたいに光系統の魔法で怪我を治したりは出来ないからな。」

 「えへへ、なら私がいつでもネロの怪我を治してあげる!」

 「そうか?ありがとう!」


 この時俺は、怪我をした時の心配そうなレイナの顔を見て、心配をかけないように強くなろうと決心した。


 

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