第3話
魔法とは想像を具現化するものである。
この世界で魔法という超常の力を行使するにあたって必要とされるのが魔力、想像力だ。
魔法の発動プロセスは意外と単純である。
初めに行うのが体内にある魔力を必要量練り込む『錬魔』。次に魔法の土台となる型――つまり、どのような魔法を行使するかを想像し下地をつくる『創造』。最後に『創造』した型に『錬魔』した魔力を注ぎ込み魔法を発現させる『具現化』。
その三つのプロセスを通して魔法は発現される。
『創造』を行う際、現象の細部まで想像しないといけないのだが、相当の知識量や想像力が必要である。また、戦闘中などに細部まで想像することは難しい。
そこで必要となってくるのが『詠唱』である。
『詠唱』を紡ぐことによって、発動する魔法のイメージを定着させ、不完全な『創造』を補助することが出来る。
「魔法の簡単な説明は以上ね。それじゃあまず魔力を感じることから始めましょうか!」
母さんはそう言って俺の手を握る。
「少しビックリすると思うけど我慢しなさい。」
次の瞬間体の中で何か暖かいものが動く感覚が走った。
「これが魔力?」
「ええ。魔力の感覚は掴んだようだし、魔力を動かせるように練習ね。」
「うん!」
俺は早速、体内にある魔力を動かそうとする。
「ぐぬぬ・・・」
「ウフフ、そんな簡単には出来ないわよ?一般の魔法使いよりも早く練習を始めてるのだし、すぐに出来るようになるわ。」
「そうなの?」
「ええ、普通は9歳の『祝福の儀』の頃から練習を始めるわ。普通の子はネロみたいに子供の頃から魔力が多いわけではないから。」
母の話にもある通り、この身体は元々保有する魔力が多いハイスペックな身体であるらしい。ただ、この世界には目に見えるわけではないが、レベルのような概念があり、魔物を倒したり、訓練をしたりすることで身体能力や魔力等が上昇するため、努力を怠れば負けてしまう。どこの世界でも努力は大切だと改めて感じた。
しばらく続けていると、魔力を少しずつ動かせるようになってきた。
「やった、母さん!少し動かせた!」
「そ、そう、凄いわね!」
少し驚いた様子の母。しかし、すぐに慈愛の表情に変え、褒めてくれる。
「・・・普通は一週間ぐらいかかって動かせるようになるのだけど、それを丸一日で・・・」
「ん?何か言った?」
「いえ、何でもないわ。」
そうして魔法訓練を終え、家へと帰った。
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