なんでもアリな短編集

アントロ

第1話・【実話ホラー】留守番の音

元々自分は幽霊はいればいいな、程度には信じていました。

それと、幽霊が怖い物とも思っていなかったです。だって、全員が全員恨みを持って死ぬ訳ではない。それに、自分は人には優しくするよう心掛けていましたから。


今私に何か取り憑いているとすれば、死んでしまったひいおばあちゃんでしょうか。


そんな私は霊感何てものはなかったけど、奇妙な事がよくありました。


留守番をしていた時です。


テレビを付けていないのにごにょごにょと喋る声がしました。

本当になにも付けていません。ゲームもないし、誰もいない。

怖くて少し焦りました。

その時、


ゴトッ


音がしました。


誰もいないはずの洗面所から。

冷や汗が拭きだし、震えました。ごにょごにょ音はよくあったけど、こんな物音はしませんでした。


ネズミ?

いや、マンションの5階にいるわけがない。

ペットも飼っていない。


そっと洗面所を見ると、トイレットペーパーが倒れていました。


「なんだ」


ほっと一安心。元の場所へ戻してリビングへ戻りました。

しかしリビングに行くとまたごにょごにょと音がする。それ以外の音はしません。

大勢の人の笑い声がします。


その時、はっと気づきました。テレビでよくある笑い声に似ているのです。

ここは5階、床に耳を付けてみると、音が大きくなりました。


下の階の人のテレビの音でした。


幼い頃の留守番は少し寂しくて、小さかった私はそれに気づかず怯えていました。


今考えると、気づかない所が本当に音に怯えていたんだなぁと小さかった私が可哀想になりました。


あなたも、気づかない方がいいかもしれません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

なんでもアリな短編集 アントロ @yanaseyanagi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ