第6話 今日も元気に暗殺、暗殺♪②
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強欲の大醜犬(F)を倒しました。
経験値を獲得しました。
強欲のダンジョン(F)が攻略されました。
報酬:3162円獲得しました。
称号『十全十美』を獲得しました。
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「お、称号が獲得できた」
九個目のダンジョンを攻略した時、新たな称号を得た。
早速、称号の内容を確認してみる。
『十全十美』
十個のダンジョンを連続で踏破することで取得できる。
(途中でダンジョンから脱出する、もしくは他の探索者に先に攻略されるとカウントがリセットされる)
効果
・移動速度が上昇する。
・ダンジョン突入時、ダンジョン全体のマップを取得できる。
お?
これは結構有用な称号じゃないか?
これでダンジョンのマップと、敵の位置、ボスの位置が全部わかったことになる。
今までマップがわからずに行き止まりに行ってしまったりしていたが、それがなくなるのだ。
つまり、より効率的にダンジョンを攻略できるということだ。
「せっかく有用そうな称号が手に入ったし、もう一個挑戦するか?」
今日はすでに九個のダンジョンを攻略している上、モンスターも結構倒しているので、一万円以上稼いでいる。
次で十個目のダンジョンなので、キリもいい。
「よし! 今日は初日だし、ちょっと休憩した後、ダンジョンに潜ってそれで最後にしよう」
俺はどこで休憩しようか考えながらダンジョンを脱出した。
***
「うーん。夕方になるとこうなるのか」
渋谷駅の正面にあるビルの中のコーヒーショップで休憩をした後、ダンジョンに潜ろうとしたのだが、朝と同じ状況になってしまっていた。
潜ろうとしたダンジョンが先に攻略されてしまうのだ。
いや、朝以上のスピードで攻略されてるな。
おそらく、学校が終わったり、仕事が終わった『ダンジョンGo!』ユーザーたちが参戦してきたからだろう。
休憩していたため、時間は午後五時くらいになっていた。
特にFランクはそこまで大きな報酬も出ないし、副業感覚で攻略している探索者も多いのだろう。
「さて、この後どうするか」
別に割り込んで攻略してもいいのだが、さっきの称号の感じからすると、潜ったダンジョンはそのまま攻略してしまった方がいいように思う。
いくら情報アドバンテージがあっても、ダンジョンに突入した時にすでにボス戦をしているとかになると追い越すのは不可能だ。
それなら、できたばかりのダンジョンに潜る方がいい。
だが、ダンジョンができるのを待っていて、さらにユーザーが増えたらもっと早くダンジョンが攻略されるようになるかもしれない。
いや、ダンジョンの最奥にいるボスの場所まで移動するのに時間がかかるから、これ以上早くなることはないか?
「それに、Eランクのダンジョンもちょっと気になってるんだよな」
今日一日Fランクのダンジョンに潜ってみたが、かなり余裕があった。
Fランクのモンスターは『暗殺』が決まれば一発で倒せるし、犬型やウサギ型の感知能力が高いモンスターに出会って攻撃の前に気づかれたとしても、普通の攻撃で二、三発決めれば倒せていた。
おそらく、『忍者』のジョブではFランクは簡単すぎるのではないかと思う。
その証拠に、セカンドジョブに設定した『見習い魔法使い』の方はすでにレベルが十になっていて、『見習い魔法使いⅡ』になったのに、『忍者』のジョブの方はレベルがまだ上がっていない。
ちなみに、ヘルプによると『見習い魔法使いⅩ』まで行くとジョブランクが上がって『魔法使い』になるらしい。
この辺の情報は『見習い魔法使いⅡ』になった時にヘルプに追加された。
『見習い魔法使い』の攻撃では十発当てても『忍者』の攻撃一発にも満たなかったので、今のところ『見習い魔法使い』はセットしているだけの状態だ。
『魔法使い』にランクアップすれば今までよりは使えるようになるだろう。
たぶん。
「Fランクが『見習い』付きのジョブがちょうど良いっぽいんだよな。ということは、Eランクが『見習い』なしのジョブがちょうどいいくらいなんだろうか?」
さっきのダンジョン攻略中に他の探索者パーティが戦闘しているところに出会した。
彼らの戦闘に遭遇したことで、わかったことが二つあった。
一つ目はダンジョン内で誰かに出会う場合があるということ。
もしかしたら、ダンジョンに潜って仕舞えば、攻略まで一パーティしか入れないという仕様かもと思っていたのだが、そういうわけではないらしい。
つまり、前に探索していたやつを追い抜くこともできるが、追い抜かれてしまう場合もあるということだ。
もう一つがダンジョンの適正攻略レベルだ。
彼らは男戦士、男魔法使い、女僧侶の3人組で、彼らの戦闘を影から見ていたのだが、その探索者たちは一体の醜鬼を倒すのに魔法や剣での攻撃を何十回もしていた。
途中からしか見ていなかったが、戦闘時間は十分以上かかっていたはずだ。
下手したら三十分くらいかかっていたかもしれない。
おそらく、あの人たちは『見習い』付きのジョブだったのだろう。
戦闘を見ていた感じ、彼らは怪我をせずにダンジョンに潜るならFランクくらいがちょうどいいくらいの攻略難易度に見えた。
俺はソロだから、安全マージンを多く取る必要はあるが、それでも、モンスターが一発や二発で倒せる現状は自分の強さとダンジョンの格が合っていない気がする。
「Eランクダンジョン。行ってみちゃうか?」
戦闘中以外ならいつでもダンジョンから脱出できる。
それに、Fランクダンジョンがどんどん攻略されているということは今の時間ならEランクダンジョンにもある程度探索者が入っていると考えられる。
もし、ヤバい状況になっても近くの探索者に助けを求められるかもしれない。
「よし、そうと決まれば行ってみるか」
俺は渋谷駅から一番近いEランクダンジョンに向かって移動を始めた。
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