第3話 GO TO ダンジョンキャンペーン!③

「ふむふむ。一定の条件を満たすと称号が手に入るのか」


 俺はメッセージウインドウを表示したまま再びヘルプを確認していた。

 ヘルプには『称号』というものが追加されていた。


 多分さっきはなかったので、俺が称号を得たから増えたのだろう。

 実際中を開いてみると、俺が取得した称号の詳細なんかが書いてあった。


 俺が取得した称号以外の称号については書かれていないので、おそらく、称号を取得したら増えていくのだろう。

 どういう仕組みで増えていくのやら。

 考えたら負けかな?

 なぜか『ダンジョンGo!』のアプリを閉じることもできなくなってるし。

 おかげで時間もバッテリー残量も確認できない。


 とりあえず、得た称号の詳細はこんな感じだ。


 『ビギナーズラック』

 初戦闘でクリティカルを出すと取得できる。

 効果

 ・クリティカル率が上昇する。

 ・運のパラメーターが上昇する。


 『無敵の人』

 ジョブを設定しない無職のままダンジョンを攻略すると取得できる。

 効果

 ・ダメージを受けても痛みをあまり感じなくなる。

 ・攻撃力関係のパラメータが微増する。


 『一撃必殺』

 ボスモンスターを通常攻撃一発で倒せば取得できる。

 効果

 ・高確率で『食いしばり』を貫通して敵を倒すことができる。

 ・攻撃力関係のパラメータが上昇する。


 『勇者』

 ソロで格上のモンスターばかりのダンジョンを踏破すると取得できる。

 効果

 ・致死ダメージでも死なない『食いしばり』が高確率で発動する。

 ・攻撃関係のパラメータが上昇する。


 『御命頂戴』

 他のモンスターと戦わずにボスモンスターを倒すことで取得できる。

 効果

 ・ジョブ『忍者』を獲得する。

 ・ダンジョン突入時、ボスモンスターのいる場所がわかる。


 『無慈悲』

 ダンジョン内の全てのモンスターを倒してダンジョンを攻略すると取得できる。

 効果

 ・広範囲攻撃力が上昇する。

 ・ダンジョン突入時、自分のレベル以下のモンスターの場所が取得できる。


 『魔王』

 ソロでダンジョン内の全てのモンスターにヒットポイントの倍以上のダメージを与えて倒すと取得できる。

 効果

 ・魔法系攻撃力が上昇する。

 ・魔法系防御力が上昇する。


 『ビギナーズラック』は読んで字のごとくだろう。

 もしかしたら、弱いモンスターだったから急所が広いとかあったのかも知れないが、今ではもうわからない。


 『無敵の人』や『勇者』はジョブを設定せずにダンジョンを攻略したおかげで出た称号だろう。

 『無敵の人』は説明文からも無職でダンジョンを攻略すると取得できると書かれている。

 もしかして、『無敵の人』って無職を意味するネットスラングから来てたりするのか?

 まあいい。便利な称号が手に入ったことを喜んでおこう。

 『勇者』もおそらく、無職の状態でダンジョンに挑んだから手に入った称号だと思う。

 ジョブなしだとLv0扱いのようなので全てのモンスターが格上だ。

 一度ジョブを設定するとジョブなしには戻せないようなので、この二つの称号を持っている奴は少ないかも知れないな。

 ラッキーだった。


 いや、ジョブなし状態でダンジョンアタックなんて危ないことをさせられたのだから、ラッキーではないか。


 残りの称号はIランクのダンジョンに潜れたから手に入った称号なんじゃないかと思う。

 『一撃必殺』、『御命頂戴』、『無慈悲』はIランクみたいなボス一体しかいないダンジョンじゃないと達成は難しい気がする。

 今回潜ったダンジョンは一部屋しかなかったが、他のダンジョンはもっと広くてモンスターもいっぱいいるのだろう。

 そうなればボスモンスターだけを狙うのは相当難しくなるし、全部のモンスターを倒すなんていうのも困難なはずだ。

 『魔王』に至っては相当運がいいか自分とダンジョンのランク差がないとダメだ。

 他のダンジョンはF以上しかなかったのにGとHを飛ばしてのIランクだったからな。


「でも、いちばんの大物はこれだよな」


 ユニーク称号『最速ダンジョン踏破者』

 ダンジョン突入から踏破までの最短記録の保持者が取得できる。

 記録が塗り替えられた場合、この称号は消失する。

 効果

 ・獲得経験値が倍増する。

 ・移動速度が倍増する。


 ユニーク称号という一人にしか与えられない称号だ。

 他にもユニーク称号はあるようだが、そのユニーク称号を一つでも持っていれば、ジョブが二つ同時にセットできるというのがとてもありがたい。

 実質一人で二人分の仕事ができるということなのだから。


 これからダンジョンにアタックするにあたって、これはかなり役に立つはずだ。

 俺は今後もダンジョンに潜るつもりでいた。

 だってこんなに短い時間でお金が稼げてしまったのだから。

 しかも、もっとレベルの高いダンジョンに潜れば、もっとたくさん稼げるはずだ。

 やらない手はない。


「明日から暇になるし、ダンジョンをどんどん攻略していきますか」


 俺は明日からの予定を考え始めた。

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