ゾロゾロってぞろぞろ?

 隣の席には地雷系女子のユウラがいる。

 今日もかわいいピンクな感じで、独特のオーラを発している。


 そんな見た目とは裏腹に、彼女は博識だった。

 今日も彼女に話しかける。


「おはよう、ユウラ」

「おはようでーす」


 ニコニコと返事をくれるユウラ。

 とにかくかわいすぎる。かわいすぎてシぬ。


「ユウラ、今日は何考えてるの」

「今日はね、いいことしたの」

「いいこと?」

「おじいちゃん道案内した!」


 今時あるんだ、こうゆうの。


「いいことだね」

「だからね、きっと神様も見てくれてる。そのお返し待ってる」

「おかえし?」

「うん。おかえし」


 ユウラはそう行って、空のポッキーの袋を見ている。


「それどうしたの」

「ここから新しいポッキー出るの待ってる」

「それは、それは」

「むー」


 ユウラは真剣らしい。


「良いことをするとね、神様は見てくれてるからね、不思議なことでお返しくれるの」

「たとえば?」

「寂しいおいなりさんにお参りした茶菓子屋の主人はね、おかえし貰ったの。

 雨が降ってきたからね、お店閉店しようとしたの。そうしたらね、お客さん来たの」

「うん」

「お客さんがね、わらじが欲しいって行ったの。雨だから、足下が悪いっていってね、そしたらたまたま最後のわらじがあったから売ってあげたの。そしたらまた来たの」

「何が来たの?」

「お客さん。そのお客さんもわらじ欲しいんだって、でも最後の一個売っちゃったから、ないの。そしたらね、わらじがあったの」


 面白い話をするときのユウラは、なにか熱中的で、かわいらしかった。


「わらじ売ってあげたら、またお客さんが来て、わらじ売ってくれって言うの。そしたら、新しいわらじが出てきて、それがぞろぞろって生えてきたから、ぞろぞろわらじ」

「ぞろぞろわらじ?」

「そう。ぞろぞろわらじは大人気だったの。だから、噂を聞いた向かいの床屋の主人もね、おいなりさんお参りいったの」

「へー。どうなったの」

「えっとね、『おいなりさん、お願いします。床屋の主人で御座います、わたしの全財産でございますんで、どうか、うちもぞろぞろとお願いします……』そしたらね、お客さん来たの」

「やったじゃん!」

「髭を剃ってくれって言われてね、腕のヨリをかけて剃ったの。そしたら、そこから新しいヒゲがぞろぞろー」


 オチを言うときのユウラは本当に可愛らしい。


「だめじゃん!」

「ダメダメ。だから、ポッキーもぞろぞろ出てくるよ」

「食べきれないんじゃない?」

「いいもん。幸せじゃん」


 そんなユウラがかわいかった。


「そういえば、今日は課題やってきたの?」

「やってない。だって新しい課題がぞろぞろ……」

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見た目地雷なのに落語喋るやつ 希壱マキ @angeASKA

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