第2話 世界は?
青い空が雲に浮いて気持ちよさそうだなと僕は思いつつ、屋上のコンクリの床に寝ていた。
気温は二十度以上。
四月の下旬にも関わらず暑い。
なんでも昔、この国の季節はちゃんと四つに別れていたらしく、気温の変化もその都度、変わっていた。
それを昔の人は風流だとか言って楽しんでいたみたいだけど。
今では季節は二種類しかなく、夏か冬それだけ。
暑いか寒いかだけで考えてみると究極二択だけで中間という選択肢はないらしい。
その中間の選択肢があればいいと思ったがそんなことを考えてもこの暑さは変わらない。
人間はその環境に身体を合わせると聞くが本当なのだろうか?
考えてみれば今、僕の住んでいる世界も人と同じように動いてるかもしれない。
二十年前、全世界で大きな災厄が起きた。
ナノブレイクと呼ばれるナノマシンの暴走。
暴走したナノマシンは自己増殖し、世界を覆い、ナノマシンがない場所はこの惑星になくなった。
ナノブレイクによって紛争が起きたり地球の環境が変わり、人口も減ったらしい。
それから突然ナノブレイクから一年足らずで、世界各地で動物や人の形をした化け物が表れ、人間、動物を襲い始めた。
まるで昔のパニック映画からモンスターがそのまま出てきたみたいに。
皮肉なことに化け物の正体は元々、人間や動物だったみたく、どうやらナノマシンの力で細胞や染色体に異常をきたしたことが原因だとか。
どこからともなく現れた怪物を人間たちは“ノーネム”と呼ぶことにしたらしい。
毎日のように出現し、危害を加える“ノーネム”を人間たちは討伐している。
“ノーネム”の出現や環境の変化を認識して適応しようとしていると考えると僕は自分の考えに納得がいく。
そして僕はその流れの一部で日夜、“ノーネム”と戦っているわけで。
しかし、納得がいかないことが一つある。
“ノーネム”を討伐するのは本来、自衛隊や軍隊なわけで一高校生にしかすぎない僕を戦闘にだすのはどうかとおもう。
世界各地で出現する“ノーネム”に対処するため、設立された《ダスト》という組織に訓練兵として僕は所属していた。
訓練兵でまだ正式に兵士と認められていないのにも関わらず、実戦に出されている。
労働基準法に違反してるんじゃないかな?
僕は高校生として昼間、学校に通い、夜は《ダスト》の兵士として戦いに身を投じている。
なんだか思わず、ため息がこぼれてしまう。
こうして授業をサボり校舎の屋上で青い空を眺める平和さが僕は一番で争いなんぞどうでもいい。
人生ゆっくりでいいのにな。
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