後悔

 二年振りに再会した彼女は、髪を長く伸ばしていた。

 共通の友人の結婚式。招待客として同じテーブルに座る彼女が、僕の不躾な視線に、あの頃と変わらない笑顔を浮かべてみせる。その姿に、僕は少しだけ動揺した。

 別れた理由は覚えていなかった。たぶん、明確な理由なんてなかったのだろう。彼女からも、僕からも、それらしい言葉は一つも出た記憶がない。

 誤解。

 それが生まれてしまう程度の信頼関係しか築けていなかったことに、僕は絶望していたのかもしれない。


「久しぶり。元気だった?」

「まぁ、それなりに」


 再会を祝う場でないことはわかっていた。今日は友人の結婚を祝う場だ。それでも僕は彼女に会えたことが、素直に嬉しかった。


「また髪伸ばしたんだ」

「……うん、なんとなく」


 彼女の行動に理由がある方が珍しいことを、僕はあの頃も知っていたはずだった。それなのに僕は――。


「似合ってるよ」


 あのとき言えなかった言葉。胸の奥にしまい込んでいた想いは、まだ錆びついてはいない。


「……惚れ直した?」


 その問いの答えを探す僕の瞳を、彼女の真剣な瞳が見つめていた。

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