義妹も、幼馴染も、憧れの先輩も、たった一日で全てを奪われた俺……

こりんさん@コミカライズ2巻5/9発売

義妹も、幼馴染も、憧れの先輩も、たった一日で全てを奪われた俺……

※NTR描写ありです!苦手な方はご注意!!!!!!!

※NTR描写ありです!苦手な方はご注意!!!!!!!

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「お兄ちゃん! 朝だよ起きて!!」

「……あと五分」

「だーめ! 早く起きないと、遅刻しちゃうよ!!」


 そんな、ラブコメ作品のテンプレのような起こし方をしてくるのは、妹のまどか

 俺、冴島翔太さえじましょうたの一つ年下の妹だ。

 学校では可愛いと話題の、ショートヘアーがよく似合う可愛い系の自慢の妹だ。


 とは言っても、親の再婚でできた義妹で、小学生の低学年の頃から家族になった可愛い妹である。

 だから当然、俺は円に対して特別な感情などは抱いていない。


 だって円は、俺にとって大切な家族であり、妹なのだから。

 だから今も、俺の上で馬乗りになる形で跨り、捲れた制服のスカートからは純白の下着が見えていようとも、全く動じることはないのである。


「はいはい……起きるよ……」

「もう、いっつも一人で起きられないんだから!」


 高校生になってからというもの、最近は毎日こうして円に起こされながら俺の一日が始まるのであった。


「あら、二人ともおはよう」

「おはようお母さん!」

「おはようございます、純恋すみれさん」


 俺達兄妹にご飯を用意してくれていたのは、お義母さんである純恋さん。


「翔太くん、眠たそうね?」

「え? ああ、寝不足でね。純恋さんこそ、疲れてるんじゃない?」

「ふふ、まぁね。でも、家族のためだもの頑張るわよ」


 そう言って純恋さんは、微笑みながら腕を上げて力こぶを作ってみせてくれる。


 ちなみに俺は、純恋さんのことを母さんと呼んだりはしない。

 最初は純恋さんもそのことを気にしていたようだが、今では全く気にしてはいない。

 これも俺達の関係の在り方なのだと、純恋さんも受け入れてくれたからだ。


 そんな純恋さんは、今日も朝からにこやかに微笑みながら、俺達の朝食を用意してくれるのであった。


 ちなみに俺の父親だが、現在は長期の海外赴任で不在となっている。

 だから、俺自身はずっと生まれ育った同じ一軒家に住んではいるのだが、一緒に暮らしているのは血の繋がりのない義母と義妹という、ちょっとややこしい状況ではあるのであった。


「じゃ、行ってきまーす」

「はい、行ってらっしゃい」

「あ! 待ってよお兄ちゃん! わたしも一緒に!」

「駄目だ。高校生にもなって一緒に登校とか、恥ずかしいだろ」


 一緒に登校しようとする妹を制止し、俺は今日も素っ気なく一人で家を出る。

 いくつになっても甘えん坊の妹でいてもらっても困るのだ。


「……」


 そんな俺のことを、円は無言で少し冷めたような、何とも言えない表情で見送っていたのだが、言われた通りついてくることはなくて一安心だった。



 ◇



「あ、翔太おはよー!」


 学校に向かって歩いていると、背後から駆け寄ってきて声をかけてきたのは隣の家に住む荒木博美あらきひろみ

 隣の家というだけあり、俺と博美は所謂幼馴染みという関係だったりする。

 いつも明るく元気いっぱいで、異様に育ったその胸の大きさもあり、学年でも人気の高い美少女……らしい。


 そうは言っても、俺にとっては円と同じ幼い頃からずっと一緒にいる存在なのだ。

 家族ではないが、最早家族のような存在なのである。

 だから、博美のことを異性として見たことは正直一度もなかった。


「ねぇ、今日も円ちゃん置いてきたの?」

「ん? ああ、もう高校生だからな。一人で学校ぐらい通って貰わないと困る」

「相変わらず冷たいねー」

「いいだろ別に」


 ピッタリと隣に並んでくる博美。

 それはまるで、自分の胸を近付けてきているようで、時折り俺の腕が博美の胸に当たってしまう。


「あ、今意識したでしょ?」

「してねーよ」

「どうだかー?」


 面白そうに、俺をからかってくる博美。

 こいつは昔からそうで、やたらとスキンシップが多いというか何と言うか、とにかく距離感がバグっているのだ。

 しかし、この話を他の奴らにしても分かって貰えず、どうやら気の知れた相手にしかこういう距離感では接してこないようだ。


「――触りたければ、直接触ってもいいんだよ?」

「バーカ。興味ねーよ」


 そして博美は、いつも通りこういう悪ふざけをする。

 だから俺も、いつも通り興味ないとお断りする。


 もちろん、俺も男だから女性の胸には興味がある。

 それに巨乳とくれば尚更だ。


 それでも、相手が博美ではやっぱりそういうわけにもいかないのである。



「……やっぱり、もう駄目だよね。はっきりしちゃったかな」



 すると博美は、そんな言葉をポツリと呟く。


「博美?」

「ううん、何でもない。行こっか」


 そう言って、さっきのことはまるでなかったかのように再び隣に並ぶ博美。

 しかし、さっきとは違い二人の間には一定の距離が保たれており、もう俺の腕が博美の胸に当たることはないのであった。



 ◇



「おはよう、翔太くん」

「あ、会長! おはようございます!」


 下駄箱で上履きに履き替えたところで声をかけてきたのは、この高校の生徒会長を務める山際麗華やまぎわれいか先輩。

 黒髪ストレートで色白の、全校生徒の憧れの人だ。

 その凛とした佇まいは美しく、誰の目から見ても美しい先輩だと思う。

 もし彼女を作るなら、きっと会長のような相手がいいのだろうと思える程に――。


「今日も朝から、生徒会のお仕事ですか?」

「ええ、ちょっと書類の整理が残っちゃっててね」

「それは大変ですね。あんまり無理はしないでくださいね」

「ふふ、ありがとう。翔太くんにそう言って貰えるだけで、元気が湧いてくるわ」


 俺の言葉に、嬉しそうに微笑む会長。

 ちなみに俺と会長は、中学の頃に一緒に生徒会に属しておりその時仲良くなった関係だ。

 会長はこうして、俺によく声をかけてくれる優しい先輩で、俺はそんな先輩に対して実は憧れを抱いている。


 だからこそ、適切な距離感を大事にしつつ、先輩を見本に己の行動を改めるなんてことを、実はモットーにしていたりもするのであった。


「ねぇ翔太くん、今日の昼休み時間あるかしら?」

「昼休み? ええ、大丈夫ですけど」

「じゃあ、生徒会室で待ってるわね」


 それだけ告げると、会長は少し恥ずかしそうにしながら足早に去って行った。

 きっと仕事が残っているけれど、人に頼むのが恥ずかしかったのだろう。

 他でもない先輩の頼みであれば、二つ返事で応じようではないかと思いながら、俺は自分の教室へと向かうのであった。



 ◇



「お前って、つくづくハーレム主人公だよな」


 教室へ入ると、昔からの腐れ縁である猿田初雄さるたはつおが声をかけてきた。

 名前通り猿みたいな奴で、昔から男性フェロモンの塊みたいな男で、割とクズなところもある奴だ。


 でもまぁ、それでもなんやかんや俺と初雄はずっと友達で、今もこうしてクラスメイトとして仲良くしているのである。


「ハーレム主人公ってなんだよ」

「は? お前、よく言うなぁ! 一年で一番可愛いと話題の義妹に、学年一の美少女で巨乳の幼馴染。それから、今朝も全校生徒憧れの生徒会長様と仲良くお話してよ、そんなものハーレム主人公以外の何者でもねーよ!」

「そんなんじゃねーよ」


 また馬鹿なことを言いやがってと思いながら、俺はすぐに否定する。

 全くもって、全員そんな関係ではないからな。


「ったく、そんなこと言ってるから……」

「ん? なんだ?」

「いや、何でもねーよ。まぁ後悔先に立たずってこともある。自分の気持ちには、常に誠実であった方がいいぞ?」


 何やら分かったような口ぶりで、謎の説教をしてくる猿田。


「俺はいつだって、正直に生きてるってーの」

「そうか、ならいい」


 自分から言っておいて、すんなり引く猿田。

 そんな、普段と違う猿田の反応は謎だが、まぁ納得してくれたのなら別にそれならそれで良かった。


 ただ、どこか勝ち誇っているような表情に見えたのは、俺の気のせいだろうか――。



 ◇



 昼休みになった。

 俺は急いで弁当を食べると、生徒会室へと向かった。


「失礼しまーす」

「あ、いらっしゃい翔太くん」


 扉を開けると、そこには会長が一人で待っていた。

 他に誰もいないとは思っていなかったため、二人きりなことがちょっと意外だった。


「えっと、俺は何をしたらいいんでしょう……?」

「違うの、今日呼んだのは手伝いして欲しかったからじゃなくて……」

「そ、そうですか」

「あの、こんなところで言うのもなんなんだけどね……」


 じゃあ何だろうと思っていると、会長はそう前置きして要件を口にする――。



「……翔太くん、良かったらなんだけど、わたしと付き合ってください」



 その要件とは、まさかの会長からの愛の告白だった――。


「え……?」

「わたし、ずっと翔太くんのことが、その……好きだったの!!」


 恥ずかしそうに頬を赤らめながら、真っすぐに気持ちを伝えてくれる会長。

 そんな急な告白に、俺はどう返事をしていいか迷ってしまう。


 全校生徒の憧れの的で、俺自身もずっと尊敬し続けてきた会長。

 そんな会長から告白されるなんて、そんなものそもそも想定する方があり得ない話だった――。



「……えっと、ごめんなさい」

「え……?」

「お、俺、そういうのはまだよくわからないので!」


 結果、俺はそれだけ口にして生徒会室をあとにした。

 告白されたのは嬉しかったが、付き合うとかそういうのは違うのだ。


 だから今は、その告白を受け入れることなんてできなかった。


 去り際に見えた、会長の傷ついた表情が脳裏に思い出されるが、それでも俺にはどうすることもできないのであった――。



 ◇



 放課後。

 俺はいつも通り一人で下校しようと思っていたのだが、今はまた生徒会室の前に立っている。


 実は午後の授業中、会長からメッセージが届いていたのだ。


『告白の結果、素直に受け入れます。そのうえで、話しがあるので放課後に生徒会室へ来てください』


 これまでと違う、どこか他人行儀なそのメッセージ。

 俺は無視するわけにもいかず、こうしてまた生徒会室へとやってきたのである。


「し、失礼しまーす」

「入って」


 返ってきたのは、やはり会長一人の声だけだった。

 しかし、昼休みの時とは異なり、やっぱりどこか冷たく感じられる声だった。


「会長……と、猿田!?」

「よぉ、翔太」


 会長の隣には、何故か猿田の姿があった。


「え? 何?」

「ごめんなさい。昼休みのあれは、忘れて貰おうと思ったの」


 昼休みというと、それはやっぱり告白のことだろうか……。


「なっ、だから翔太は駄目だって言ったでしょ?」

「……ええ、そうね。少しでも期待したわたしが馬鹿だったわ」

「な、何の話ですか……?」


 訳が分からないでいる俺に、猿田は下卑た笑みを浮かべる。


「何って、こういうことだよ」


 そして猿田は、生徒会長席に座る会長を後ろから抱きしめると、そのままその手で会長の胸を揉んだ。


「さ、猿田!?」

「わたし達、付き合うことになったの」

「え……?」

「そういうこと。いつまで経ってもうじうじしてる翔太に愛想を尽かせて、前から何度も告白してきた俺の告白を受け入れてくれたってわけだ」


 そう言って猿田と会長は、俺に見せつけるように目の前で熱いキスを交わす。

 そのキスを、何故かずっと見せられ続ける俺……。


「……ぷはぁ。というわけで、変な噂になっても面倒だから、告白したことはできれば他の人に言わないでおいて貰えると助かるわ」

「頼むよ、親友!」


 なんだよ、それ――。

 友達と、憧れの会長二人が、この短時間でこんなことに――。



「……分かった。言わないよ」



 もうこの場にいる必要もないと思った俺は、それだけ告げて生徒会室をあとにした。

 扉を閉めるその時も、背後からはキスを交わす生々しい音だけが聞こえてくるのであった……。



 ◇



 帰り道、一人で歩いていると一件のメッセージが届く。

 誰かと思えば、それは博美からのメッセージだった。


 こんな時になんだと思いながら、俺はそのメッセージを確認する。


『もう猿くんからOK貰ったから、はっきりさせちゃうね!』


 そのメッセージに続けて送られてきたのは、一枚の写真。

 そしてそれは、博美と猿田が裸で身を寄せ合いながら自撮りした写真だった――。


「え――?」


 訳の分からない俺に、博美から続けてメッセージが送られてくる。


『翔太がわたしに興味ないのはよく分かったから。実はわたし、少し前から猿くんとこういう関係なの』


 幼い頃からずっと一緒に育ってきた幼馴染が、先程会長とキスを交わしていた猿田の腕の中に裸で納まっている写真――。

 それは俺にとって、とてもじゃないが見るに堪えない写真だった。


『でも猿田は、会長と付き合ってるんだぞ!』


 だが、相手はあの猿田なのだ。

 大切な幼馴染みに二股なんて、そんなもの許されるはずもなかった。


 しかし――、


『え? 知ってるよ。わたしと猿くんは、身体だけの関係だからw』


 最後の「w」が、全てを物語っていた――。

 要するに博美は、全て織り込み済みというわけだ――。


 そしてそのうえで、相手のいない俺のことを挑発しているのだと。

 大切な幼馴染……どうやらそう思っていたのは、俺だけだったようだ……。




 ◇



「ただいま……」


 帰宅した俺は、家の玄関を開ける。


「あ」


 すると、丁度家から出ようとする円と鉢合わせてしまう。


「おかえり」

「おう、ただいま。どっか行くのか?」

「う、うん。まぁね」


 少し言い辛そうにする円。

 これは絶対に何かあると思い、俺は質問を続ける。


「教えれない場所なのか?」

「……翔太くんには、関係ないよ」

「翔太くん?」

「――うん、もうわたしにとって翔太くんはお兄ちゃんじゃないっていうか……冷めちゃったんだよね……」


 冷めちゃったって、なんだよ……。

 俺達兄妹の関係は、温まるとか冷めるとか、そういう関係ではないだろ……。


「わたしの今のお兄ちゃんは、猿お兄ちゃんだけだから。だから明日からは、一人で起きてね」

「さ、猿って、もしかして猿田……?」

「そうだよ」

「待て! あいつは駄目だ!!」


 まさか円まで猿田に!?

 俺は慌てて円を引き留めようとするが、円はその手を払う。


「触らないで。全部分かったうえで、わたしは猿お兄ちゃんと一緒がいいの」

「で、でも!」

「や、やることだって、もう済ませてるんだからねっ!」


 そう言って円は、家から出て行ってしまった――。

 残された俺は、円になんて声をかければいいのか分からず固まってしまう――。


「済ませてるって……」


 つまりは、そういうことなのだろう――。

 それがいつかなんて分からない、けれど今日一日で、円も、博美も、そして会長も俺に対して愛想を尽かせてしまったということだけは確かだった――。


 全ては、俺が優柔不断だから……。

 猿田の言っていた意味が、今になってようやく分かったのであった……。



「……はは、ははは」



 何だよこれ、何なんだよ……。


 頭が……脳が壊れてしまいそうになる……。



「あははははは! ひゃはははは!!」



 そして俺は、狂ったように笑う。

 もうこれで、全て終わったのだと現実を受け入れながら――。



「翔太くん!? ど、どうしたの!?」



 そんな俺の元へ、純恋さんが駆け寄ってくる。


「大丈夫!?」


 そして俺の両肩に手を置いて、本当に心配そうに見つめてくれる。


「――会長は、猿田と付き合うことにしたらしいんだ。それで、博美は猿田のセフレで、円は猿田に身体を許しながらも片思いでもしてるんじゃないかな」


 俺は今日分かったことを、純恋さんに端的に伝える。


「だからもう、これで俺には何もなくなったよ」

「翔太くん……」


 そして俺は、両肩に置かれた純恋さんの手を掴んで離す。



「だからさ、これで邪魔はなくなったよ」

「……本当にいいの?」

「良いに決まってるさ。だって俺が愛しているのは――」


 そう言って俺は、純恋さんを強く抱きしめる。



「ずっとずっと、純恋さんだけなんだから――」



 その言葉を合図に、俺達は貪り合うように激しいキスを交わす。


「まさか、純恋さんまで猿田となんて無いよね?」

「な、無いです! わたしは、ずっと翔太様のモノです!」

「よかった」


 慌てて俺の物だという純恋さんの頭を、俺は満足しながら優しく撫でてあげるのであった。



 ◇



 そう、あれは俺が中学生に上がって暫く経った頃のこと。

 父親の海外への長期出張が決まった時だ。


 家族会議の結果、俺と円の学校生活のため、家族では行かずに父親だけ海外へ行くことになったのだ。

 父親がいなくなることは、まだ子供な自分にとって寂しいことではあった。


 でもそれ以上に、俺は喜びに包まれていた。

 何故なら俺は、物心ついた頃からずっと純恋さんを異性として見ていたからだ――。


 だからある日、俺は我慢できなくなって純恋さんの眠る寝室へと忍び込んだ。

 今思えば、そんなもの思春期真っ盛りだった俺の明らかな過ちだった。


 それでもあの時の俺は、今しかないと思ったのだ。

 薄いネグリジェだけ着た純恋さんの姿を見た俺は、もうどうしても抑えることができなかった。


「しょ、翔太くん!?」

「純恋さん! ぼ、僕もう!!」


 必死に抱き付く俺に、困惑する純恋さん。

 もしかしなくても、この時点で普通なら家族崩壊の危機である。


 しかし純恋さんは、ちゃんと母親だった。

 そんな俺の気持ちに気付きつつも、優しく対処してくれたのである。


「駄目よ、翔太くん。わたし達、家族でしょ?」

「でも僕は、純恋さんのことがずっと!」

「翔太くん……」


 それからずっと俺は、純恋さんに抱き付き続けた。

 すると、その気持ちが伝わったのか、純恋さんは諦めるようにため息をついた。


 そして俺は、純恋さんと過ちを犯した。

 一回きり、そのただの口約束と共に――。


 それからというもの、俺は約束なんて守ることなく止まらなくなっていた。

 円の寝静まる時間になると、俺は純恋さんの寝室を訪れるようになっていた。


 そして純恋さんも、最初は気にして拒んでいたけれど、次第に俺のことを受け入れてくれるようになり、今では俺の大切なペットとなった――。

 きっと純恋さん自身も、身体は求めてしまっていたのだろう。



「これでもう、円のことは気にしないで良くなったね」

「……でも、わたしの娘なのよ」

「もちろん。これからも円は大切な家族であり、可愛い妹だよ」

「そう、よね……」

「うん、だから行こっか。今日は所謂NTRみたいな体験ができたから、溜まってるんだ」

「でもそれ、翔太様が自ら仕向けたことなんでしょ?」

「あはは、そうだよ。俺の純恋さんに対する、真っすぐで気持ちを見せるためにね」


 俺は三人の気持ちに気付いていた。

 そのうえで、今日この時のために鈍感を演じ続けてきたのだから――。


 三人のことは嫌いじゃないし、大切に思っていたのは本当だ。

 それでも純恋さんのこととなれば、はっきり言って三人とも邪魔だったんだ。


 こうして俺は、もう余計な邪魔の入ることのない素晴らしい環境で、純恋さんのことをこれまで以上に愛することができるようになったのであった――。


「……こんなオバサンで、本当に良いんですか?」

「俺が愛している相手は、ずっと純恋さんだけだよ」


 だからこれからも、沢山愛し合おうね。


 一つ屋根の下で——。



-----------------------------------

<あとがき>

いつからNTRだと思った?


残念!みんな狂ってるんだ!!!!ヒャッハー!!!!!


……すいません、普段はこういうの絶対書かないんですけど、ちょっと魔が差したと申しますか……w


だって、NTRってランキング上位によくあるからぁ!!!!!(´;ω;`)wwww


普段は純愛ラブコメしか書きませんので、良かったら読んでね☆

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