第4話:エース

「ほう、俺と1on1しようってわけか。1年に負ける訳には行かないからな、全力で相手してやるよ」

「こっちも負けられないっす」

『まず最初にパスをちらつかせる。それに相手が反応する。そこが狙い目だ』

「岸和田さん」

「はっ」

『今だ!』

「ほな、さいならー」

「な、速い」

「来いやー近藤センパーイ」

「毛利、望む所だー」


2人が飛ぶそして、近藤がシュートを打とうと片手にボールを持ち変える。そして毛利はそれに合わせてブロックしに行く。


「はたき落とす!」


しかし、そのブロックは当たることがなかった。


「な、空中でボールを持ち替えただと」

「俺の勝ちだ安田、毛利」

「うおおお。俺もいるぞー」

「な、なにー」


武田が近藤の後ろから飛び近藤の放ったシュートをはたき落とす。それが近藤の足に当たり1年ボールとなった。


「よーし」

「ナイスブロック武田」

「武田ーお前凄いなー。横田をフリーにするなんて賭けに出たなー」

「ありがとうございます、近藤先輩」

「止められるとは思わなかったわ。ま、まだ時間はある。1年を褒めるのはまた後でや。今は敵だからな」

「はい」

「どうだ近藤。向こうのエース安田」

「あいつセンスありまくりっすよ。試合だと抜けるけど単純な1on1だと勝てるかどうか怪しいっす。でもダブルチームじゃなくても大丈夫です」

「そうか。負けんじゃねーぞ」

「負けたら腕立て100回腹筋100回なー」

「えーそれは勘弁してくださいよー」

「さあディフェンスだキッチリ守ろうぜー」

「おう」

「お、雰囲気変わったか」

「まあやることは変わらねー。ボールを持って走ってゴールを決める、それだけだ」

「さあ行くぞー1、2、3」

「オーーイ」

「さあ行こうぜ行こうぜー」

「安田」

「またやるかー1on1」

「武田っ」

「おんなじ作戦は通じるか」

「ナイスパース」

「えー」

「ふん」

“ダーン。ギシギシギシギシ”

「まだゴール震えてやがる。お前ー壊すんじゃねーぞ」

「当たり前だ」

「こーんーどーうー」

「いや違うんですこれは」

「何も違くねーだろ」

「こっからっす」

「一応このチームのエースは今んとこお前だ。負けてもらうとあっちに勢いがつき俺らは負けてしまう。任せたぞ」

「はい!」

「さあディフェンスだー」

「おう」

「1年は、まだゾーンプレスで行くつもりだー」

「すげー体力だな今年の1年は」

「山田」

「ナイス」


そして山田にボールが渡ったのを見て新田が抑えに行く。しかし、


「近藤」

「安田、パスカット!」

「くそっ、間に合わねぇ」

「ナイスパース」

「ちっ」


安田がすぐにディフェンスに入る、しかし


「3人とももっと周りを見た方がいいねぇ。ほなさいならっ」

「待ちやがれ」

「くっそ」

『間に合わねぇ』

「止めろー毛利ー」

「任せろぉ」

「ほい、岸和田先輩」

「チェック」

「フェイクだよー。さいならー」

「すまねえ武田、止めてくれ」

「うおおおお」

「ぶちかませ、近藤!」

「はーーせい」


“ドッゴーン”


「決まったー」

「えげつねえダンクだ」

「ナイス」

「へい1年!5人抜きだな」

「くっそー」

「2、3年集まれ」

「1年こっちに集まれ」


〜2、3年側〜

「よくやった近藤」

「ありがとうございます」

「少なからずこれで奴らに恐怖感を植え付けることができただろう。そしてここからバシバシ決めて逆転するぞ」

「え、でも奴らのゾーンプレスかなりきついぞ」

「残り3分のタイミングだ。プレスで来てもお前らならかわせるだろ」

「任しといてください。なあ、山田」

「はぁはぁはぁ。はい」

『体力のある山田なのにここまでになるとはな』

「よしじゃあ行くぞ」

「おう」


〜1年側〜

「少し押され気味だがまだ勝ってはいる。そしてゾーンプレスをする体力は残ってるか」

「いや、俺ら体力ある方だが流石にキツくなってきた」

「よしじゃあゾーンプレスは一回やめよう。そしてここからはマンツーで行く。オフェンスだがオフェンスは基本はじっくり時間をかけてきっちり決めるでいいが、負けそうになったら速攻で点を決めてゾーンプレスに戻す」

「わかった」

「それじゃあ最後まで気合い入れていくぞ。1、2、3」

「おーい」


〜試合〜

「しゃあ一本決めるぞー」

「おう」

『残り時間3分で8点差。こりゃあ追いつかれる可能性もあるな。この一本結構大事だ。決めたら俺らが勝つ可能性が高くなるが決められなかったら追いつかれるどころか逆転されちまう。そんな時こそあいつが動く!』

「へい」

「へへっやっぱりな。暴れろ安田!」

「抜かせるかぁ」

「抜く!」


安田はパスの動作をしようとする。


「今度は引っ掛からねーぞ」

「フェイクだ」

「分かってらぁい」

「なに⁉︎」


近藤は安田のフェイクを読んでいた。しかし、安田のドライブは想像を遥かに超えるスピードだった。


「安田ー止めてやるー」

『横田先輩がそこにいるなら、』


安田が跳びシュートを決めに行こうとする。


「うおおお」

「武田!」


しかしそれはフェイクだった。安田から武田にパスが通る。


「ナイスパース」


武田がシュートをしようとするが、


「うおおお。入れされるかー」

「ヤベェ落ちる。リバウンド!」


岸和田がブロックをしにくる。それによりシュートが外れる。しかし岸和田がマークしていた毛利がフリーであった。


「入ってろ!」


毛利がリバウンドを取りダンクをしに行く。が...


「させるかー」


ボールを弾かれてしまいダンクに失敗する。それを安田が拾う。


「入ってろ2」


“ガコッ”

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る