第3話:新戦術
「へいっ、みんなこい」
「どうした前田?」
「新戦術を試そうと思う」
「お、なんだなんだ。面白そうじゃねぇか。やろうぜ」
「賛成だ」
「よしじゃあ耳を近づけろ。ゴニョゴニョゴニョ」
「おいおい、マジか⁉︎」
「俺らにできるのか」
「まあいいんじゃねやってみようぜ」
「まあみんなそう言うんなら」
「よしじゃあ、1、2、3おーい」
「しゃあやっていこう」
“ピー”
「試合再開です」
「横田先輩」
「なっ」
「オールコートゾーンプレス⁉︎」
「このタイミングで」
「くっそ抜けねぇ」
〜回想〜
「1ー2ー1ー1の形のゾーンプレスで行く。まず、新田がスローインする人の前に立ちパスの道を無くす。そこで5秒投げさせなくて俺らボールになればいいが、もし7番にパスが通ってしまった場合は、俺と新田で止めに行きそこでボールを奪う。もし8番にパスが通ってしまった場合は新田と安田で止めに行く。いいな2人ともここにかかってるぞ」
「おう」
「おい俺らはどうするんだ」
「武田は4番にパスしてきたボールをとってそのまま前にいる3人にパスしてくれ。毛利も同じように6番に向けたパスをカットして3人にパスだ」
「OK。任せとけ」
「ちっお前らかなりきついディフェンスしてきやがるな」
「ほい」
前田が山田のボールを取る。そのままシュートをする。
「よーし」
「くっそ」
『ロングパスだ』
「オーリャあ」
「それも対応出来るんだー」
「ふん。随分と甘いパスだな。新田!」
「ナイスパース」
「くっそ間に合えー」
「フェイクだ」
「前田!」
横田はこのパスを見越してもう前田のシュートをブロックする体制にいた。しかし、
「やっすー」
「ナイスパス」
「ぶちかませ!やすー」
「ふん」
”ドンっ“
「ナイスダーンク」
「こいつらまだこれやって来んのか」
「第2クオーターで40点突き放すぞ!」
「おう」
「40点だと?ふざけんなー」
山田が新田を吹き飛ばす。
「オフェンスチャージング。白7番」
「くっそ」
『ダメだ熱くなりすぎてる。冷静にならねば。しかしこの点差をどう巻き返せばいいんだ』
「さあまずは1本しっかり取ろう」
「田中先輩」
「俺にパスくれ」
「はい」
山田が田中にパスをする。その瞬間地面を這うようなパスが中央にいる岸和田に通る。そのまま岸和田が、
「お前なら出来るよなー横田ー」
思いっきりパスを投げる。それはゴールの少し上のあたりに飛んだ。
「止めろ武田!」
「任せろー」
武田も横田に合わせて飛ぶ。しかし、
「無駄だー」
「ぐおお」
「マジかよ。武田を吹っ飛ばせる奴がいるなんて...」
「うし」
「パス出してやる見逃すなよ、武田」
「ああ」
「やべえ速攻だ守れ岸和田!」
「うおおお」
「中に切り込んだ」
「バカめ俺のブロック能力を甘く見過ぎだ」
前田はシュートを打つ誰しもがそう思っていた。それに合わせて岸和田も飛んでいたのだ。しかしそれがフェイクだということをこの中の2人は知っていた。前田と武田だ。前田は岸和田がジャンプしたのを見て岸和田を抜くそして、後ろ向きでゴールに向かってパスを出す。前田は何も見えていない、それだけ武田を信じていたんだ。
「武田!死んでも打ち込め!」
「おう!」
前田の後ろからパスに合わせるようにダッシュジャンプする武田の姿があった。そして武田はそのまま
“ドゴン”
ゴールが壊れるんじゃないかという勢いでダンクをぶちかます。
「うおおおおおお」
「うおおお」
「ナイスパス」
「絶対勝つんだろ」
「おう」
「へい、みんな」
「なんだ?」
「こっからきっちり守って勝つという方法があるが俺らはそんなやわじゃねぇ。こっからもゾーンプレスで行くぞ」
「おう。たりめーだ」
「行くぞ!」
「おう」
「こんな後半の後半なのにまだプレスする体力があんのかよ」
「早く投げねーと5秒になる」
「ディフェンスが完璧だパスコースがない」
「ピーーーー。5秒バイオレーション。赤ボール」
「よーーし」
「安田!こっからはお前の独壇場だ。好きなだけ暴れろ」
「ああ、そのつもりだ」
その時点差は意外にも12点差だった。こういう相手が追い上げムードの時こそエースの出番だ。それを安田は理解していた。
「へい」
「分かってるよ、やってこい」
安田はパスをもらってすぐに走り出す。
「行かせるかー」
山田が守りにくるが安田がターンしてディフェンスを抜く。
「ヤベェ横田さんしか戻ってない」
「勝負だー安田!」
「望むところです」
「うおお」
“バチッ”
「ピーー。カウントワンスロー白4番」
「な⁉︎当たったのはシュートの前だぞ、カウントはなしだろ」
「ナイスシュート安田」
「しっかり決めろよ」
「ああ」
”パシュ“
「よーし」
「やっと働き始めたか安田」
「オメーはまだ休んでるみたいだけどな毛利」
「うるせーみんなシュート外さないんだよ」
「おい2人ともそっち行ったぞ」
「随分舐めてんねー。試合中おしゃべりしないの」
「毛利お前は岸和田先輩につけ。俺は近藤先輩につく」
「任せたぞ」
「ほう、俺と1on1しようってわけか。いいねぇ、若いねぇ」
「対して年変わらないじゃないっすか」
「まあそうだけど。手加減はしねーぞ」
「うっす。自分もそのつもりです」
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