第38話
さて、わざわざ1年もかけて鑑定魔法を覚えたんだ
ステータスを見ておしまいではない
むしろここからが1番大事なんだから
「傑以外は技能の横に未振ってのがあるな?これがレベルアップ時にもらった能力値だ。本来これは教会で能力解放するんだけど、それをやっちゃうとランダムで強化されちゃう…そこで鑑定魔法が大事になる」
これには全員驚愕した
あのダッサイポーズとダッサイセリフから得られるのが、ランダムなステータス上昇だなんて
知ってしまうと嫌な思い出でしかない
「□上昇っていうコマンド見える?」
俺の問いに傑以外の3人が頷く
だが傑もちゃんと話を聞いてくれている、こういう所が流石というかなんというか…
「これを直接手で押すと自由に上昇値を決められる。それも教会に行くことなく、だ」
教会でのあれは、本来鑑定魔法が使えない人の為の能力解放なのだが鑑定魔法の衰退と共にその事も忘れられていった
ステ振りに関してはある程度の指針を出した
剛の勇者スキルは教会での自動振り分けですら均等に上昇してた事から推測するに均等にあげるのが必須条件だろう事を伝えた
ただ、1周目ではそれで一段階しか解放出来ていないのを考えるとそれだけでいいのかは悩ましい…
裕二はやっぱり魔の技能を伸ばすのが良いだろうし、逆に傑は魔の技能を伸ばしても仕方ない
問題は初島、治癒魔法というくらいだから魔の技能を上げればいい気はするけどそんな単純なものだろうか?
技の技能に関しては謎な部分も多いし…
とは言え全く上げない訳にはいかないから取り敢えず半分くらい残して魔の技能を上げて貰うことにした
取り敢えずこれで1周目関連の情報は皆に伝えられたかな
まぁ色々伝えてない事はあるんだけど
特に…
5年後に迫ったマグニの襲来
マグニという巨大な害獣がやってくるという事は伝えてあるが、その結果1周目で何が起きたかまでは伝えていない
いつまでも伏せておく事は出来ない、でも話したくない自分がいる
皆になんて言われるんだろうな?
最悪1人で戦うことも覚悟しなきゃいけない
そうなるとしてもなるべく皆が強くなってから話そうと思う
それが皆に対して俺ができる事だから
なんて考えている間、皆はステ振りをしていた
1番早く終わったのは初島
そりゃそうか、シンプルにあげる数が少ないもんな
次に剛、考える必要が無い分早かったのだろう
――とその時、剛の身体がうっすらと光り、脳内に声が響き渡った
『世界の声から鑑定魔法所持者へ。新たな勇者の卵が誕生しました』
どこかで聞いたような声
新たな勇者の卵はタイミング的にも剛の事だろう、つまり今第1段階解放に達したって事か?
鑑定所持者へと言う事は鑑定魔法を持っている全ての人に…皆の顔を見る
反応を見るに皆にも聞こえたみたいだ
まぁ、でも鑑定魔法を持ってる奴なんている訳ないよな
俺に鑑定魔法を教えたあの人物、当然あの人もこれを聞いているはずなのに何故かこの時の俺は彼の事を綺麗さっぱりと忘れていた
パワーアップバングルの力で皆は同レベル帯の討伐者と比べると2倍の強さを手に入れた
しかも彼らとは違い余分な技能への振り分けもしていない
純粋に自分の適正のみを上げた事により、限定的ではあるが既にレベル40程度の実力になっていた
それは技能の振り分けをしたからだけではない
この1年、彼らが取得してきたスキルたち
それらの能力加算値も一緒に加算されたのが大きい
今の彼らならそうそう遅れをとることはないだろう、傑はまだレベルは上がってないが経験するならいいタイミングだと思う
それに最悪、俺が守ればいい
1周目よりいくらか早い、それに依頼を受けずに行くことになる
あんまり1周目と違う行動をとりたくはないけど仕方ない…
「皆、話を聞いてくれ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます